イスラム過激派によって作成・共有されたノンファンジブルトークン(NFT)の初の事例が明らかになった。ブロックチェーン技術の不変性がテロリストのメッセージやプロパガンダの拡散を助ける可能性があるとの懸念が高まっている。

ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は4日、NFTはイスラム国(IS)や他のテログループも制裁逃れやテロキャンペーンの資金調達にブロックチェーン技術を利用している可能性があると報じた。

問題のNFTは、米国に拠点を置く調査会社ジハードスコープの共同設立者であるラファエル・グラック氏が、IS支持のソーシャルメディアアカウントを通じて発見したとされる。

「IS-NEWS #01」と名付けられたこのNFTは、アフガニスタンに拠点を置くイスラム過激派がタリバンの陣地を攻撃したことを称賛するテキストとともに、イスラム国のエンブレムが描かれた画像だという。

ブロックチェーンを使った通貨を専門とする元連邦情報機関アナリストのマリオ・コスビー氏によると、このユーザーは8月26日に別の2つのNFTを作成し、1つはイスラム国の戦闘員が学生に爆発物の作り方を教える様子、もう1つはタバコの喫煙を非難している様子だという。

A screenshot of the IS-NEWS #01 NFT (left). Source: The Wall Street Journal

アナリストは、これはテロ集団がメッセージを広めたり、新しい資金調達戦略を試したりするために、この新技術を利用している可能性を示すものだと指摘する。

「コンテンツを破壊できないようにする方法を見つけるための実験だ」とグラック氏は語った。

このデジタル・トークンは、NFTマーケットプレイスのオープンシーに掲載されたと報じられたが、同社はすぐに掲載を取り下げ、「憎悪や暴力を煽ることは一切認めない」という理由で投稿者のアカウントも閉鎖した。

NFTマーケットプレイスのラリブルやその他のプラットフォームでも一時掲載されたが、現在は販売されていない。

NFTはどれも取引されていないようだが、コスビー氏はトークンの存在が懸念される理由として、「検閲を受けないようなもののため」と言い、次のように付け加えた。

"このNFTを実際に消し去ることはできない"