テックビューロは10日、フィスコ仮想通貨取引所との間で、仮想通貨取引所「Zaif」の事業を譲渡する契約を締結したと発表した。Zaifから流出した仮想通貨の補償内容についても明らかにした。

発表によれば、フィスコ側は消失分に相当する仮想通貨等の資産の調達を既に終了している。フィスコ側が既に準備している資産で顧客財産は保護されるとしている。

今回の事件で流出した仮想通貨はビットコイン(BTC)、ビットコインキャッシュ(BCH)、モナコイン(MONA)の3種類。流出した70億円分のうち、顧客保有分は45億円にあたる。

当初は「50億円を提供する金融支援、株式の過半数を取得する資本提携、過半数以上の取締役及び監査役の派遣」を検討するとしていた。、協議・交渉の結果、支援するフィスコのリスク回避の観点、顧客保護のための迅速な実行といった観点から、スキームが変更したという。

10月19日に株主総会、22日に公告を経た上で、11月22日に事業譲渡を実行する。

ビットコインとビットコインキャッシュ(Bitcoin & Bitcoin Cash)

ビットコインとビットコインキャッシュについては、フィスコ側が流出した数量に相当する仮想通貨の調達を既に完了している。11月22日以降にフィスコ側の運営となった後、入出金のサービス再開に向けて取り組むとしている。具体的な再開日時はまだ未定としている。

モナコイン(Monacoin)

モナコインについては、日本円による補償を行う。テックビューロによれば「今回の流出事件により消失した分量に相当する仮想通貨を市場から調達することが著しく困難な状態」だという。今回の流出事件で、テックビューロが預かっていたモナコインの約4割が消失。そのため、消失せずに残った6割についてはモナコインを現物で返還し、4割の消失した部分は日本円で支払う形だ。

補償金額は1モナコイン当たり144.548円。10月9日午前9時のビットフライヤーおよびビットバンクの相場の中間値を採用したという。Zaifでは10日午後5時をもって取引を中止している。

事業譲渡により、顧客との間の個々の契約関係はフィスコ仮想通貨取引所に承継される。承継の効果が発生するためには、顧客側が承諾する必要があるという。

テックビューロは解散へ

テックビューロは、発表の中で、「事業譲渡の手続きが完了した後、仮想通貨交換業の登録を廃止した上で解散の手続きを行う予定」としている。

テックビューロは既に、プライベートブロックチェーンの「mijin」とICOプラットフォーム「COMSA」のソフトウェア開発事業、海外事業を分社化し、テックビューロホールディングスを設立している。COMSAの「国内ソリューション事業」はテックビューロが行っているが、今後のCOMSAやmijinの事業の今後についてはテックビューロホールディングスが担うとみられる。