台湾の台北富邦銀行は、ブロックチェーンに基づく決済システムを導入した。現地メディアのタイペイ・タイムズが14日に報じている。

 台北富邦銀行は、台北市内の国立政治大学付近のレストランや商店に向けてブロックチェーンに基づく決済システムを展開したと発表した。同銀行は昨年3月、「ブロックチェーン決済ネットワークに向けた重要な技術・工学的研究開発」を行う契約を国立政治大学と結び、ブロックチェーンに基づく決済ネットワークを導入する計画を明らかにした。

 イーサリアム(ETH)ネットワーク上で動作する、このブロックチェーンに基づく決済アプリケーションは、決済にかかる時間を減らし、取引費用を抑えるビザンチン・フォールト・トレラント性(BFT)を持つ合意プロトコルを実装している。同銀行によると、そのアルゴリズムにより取引にかかる時間が1秒未満に短縮されたという。

 この新たに立ち上げられたブロックチェーンに基づくシステムは、改善されたデータ取引の記録方法も提供している。各取引は即座にブロックチェーン上で暗号化・記録され、事業者はブロックチェーンの帳簿を通じて取引の記録を閲覧できるようになる。

 台北富邦銀行によると、大学近くのエリア内にある協賛店の取引量が、システム立ち上げ後2週間にわたり4倍に増えたという。同銀行は、プロジェクト展開における次の段階は、ブロックチェーンに基づく決済システムを政治大学エリア全域のお店や事業に拡大し、新たなシステムの実証地区を形成することだと述べている。

 今年1月、台北市はブロックチェーンを用いた大気汚染の最新情報の提供や健康履歴の追跡などのサービスを市民に提供することで、「スマートシティ」を目指す意向を発表している。また2月には、台湾の中央銀行の楊金龍総裁は、中銀が「決済システムのセキュリティと効率」を改善するため、ブロックチェーン技術の利用方法を探求していると述べた