昨年の混乱時に仮想通貨取引所FTXから資金を盗んだハッカーが、盗んだ大量の資産を移動させている。

FTX創設者サム・バンクマン-フリード氏の裁判が進行中の中、新たな動きがみられた。ブロックチェーン分析会社エリプティックによれば、2022年11月にFTXがハッキングされて以来初めて、同取引所から盗まれた7万2500ETHが動き出した。

エリプティックによれば、犯人は2023年9月30日以降、分散型取引所(DEX)のTHORSwapを通じて、1億2000万ドル(約179億円)相当のETHをビットコイン(BTC)に交換した。最初の取引は、バンクマン-フリード氏の裁判が10月3日に開始される数日前に行われた。

FTXのハッカーは、資金を盗んだ直後に使用した時と同様の手法を適用し、昨年11月にクロスチェーンブリッジのRenBridgeを使用して6万5000ETH(約1億ドル)をBTCに交換した。「RenBridgeを通じてビットコインに換金されなかった18万ETHは、2023年9月30日の早朝まで休眠状態にあった。その時点でその価値は3億ドルだった」とエリプティックは新たな分析で書いている。

Daily number of transactions involving FTX stolen assets. Source: Elliptic

エリプティックは、FTXのハッカーが当時分散型取引所やクロスチェーンブリッジを通じた資金洗浄を急いだため、ハッキング後の数日間で9400万ドルを失ったとも指摘している。

ハッキングからほぼ1年後、FTXをハッキングしたのが誰なのかは依然として不明だ。エリプティックは、FTXの内部関係者、北朝鮮のラザルスグループ、ロシア系犯罪集団のいずれかがFTXハッキングに関与している可能性があると推測している。

「一部のFTX従業員は、運用上の理由で暗号資産を移動するためのアクセス権を持っていた。会社の破産と崩壊に伴う混乱の中で、内部の関係者がこれらの資産を取得する可能性があった」とエリプティックの報告書には書かれている。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン