ノンファンジブルトークン(NFT)は、これまでにもさまざまな論争を巻き起こしてきたが、今度は米国で数十億ドル規模の企業と、労働組合結成を目指す労働者との戦いの真っ只中に入り込んでしまったようだ。

スターバックスのCEOに復帰した初日、ハワード・シュルツ氏は、労働者への福利厚生の追加とNFTを使ったデジタル・イノベーションを約束した。シュルツCEOは、「今年末までに、我々はNFTビジネスに参入する」と言及した

この発表には、それなりの反発があった。ユーザーのsmchatter1さんは、「企業は幻想を維持するために利益を燃やすのではなく、従業員に生活費を払えばいい」とツイート。そのほかにもこの動きを批判する声が出ている。

NFTビジネスへの参入は先進的な動きに見えるかもしれないが、労働組合の結成に反対する会社の行動から人々の目をそらすためのものだという意見もある。この発表の1時間後、スターバックスは同社に3年以上勤務していた組合リーダーのライラ・ダルトン氏を解雇した。

ダルトン氏はインタビューの中で、組合のリーダーであることを理由に、管理職から常に嫌がらせを受けたと述べた。

米国では、スターバックスやアップル、アマゾンなど店舗の従業員が労働組合を結成する動きが盛んになっている。4月1日、ニューヨークのチェルシー・マーケットにあるスターバックス・ロースターは、米国で10番目の労働組合を結成したスターバックスとなった。

さらに、ニューヨークのスタテン島のアマゾン労働者が最近、アマゾンで初めて労働組合になるための結成を可決した。この動きは、米国の労働者にとって重要な勝利であるとみられている。

シュルツCEOはこれまで、労働組合に対して反対の声を上げてきた。パートナー会議では、スターバックスを「プロ・パートナー企業であり、私たちと社員の間に誰かを入れる必要はない」と主張。また、全米の企業が「組合結成の脅威によって、様々な形で攻撃されている」と指摘した。

組合結成の動きは、企業の収益が増加する中で労働者が恩恵を受けられていないために起きている動きだ。スターバックスは2021年第4四半期に記録的な利益を上げる一方で、従業員は福利厚生の問題や低賃金に加え、不健康で予測不可能なスケジュールに対する懸念を非難している。

3月に入り、全米労働関係委員会(NLRB)はスターバックスに対して訴状を出し、組合を結成しようとする労働者を標的にしていると非難した。NLRBによると、従業員には改善を求め、組合を結成する権利があるという。NLRBのディレクターであるコーネル・オーバーストリート氏は、「従業員には、労働組合を結成することを含め、労働条件を改善するために協力する権利がある」と述べている。