スタンフォード大学ビジネススクールでファイナンスを担当するダレル・ダフィー教授は、仮想通貨やデジタル通貨の存在によって、銀行が預金金利を低金利にしている状態に終止符が打たれると主張している。
10月24日に「スタンフォードビジネス」に掲載されたインタビューの中で、銀行が送金方法をもっと速く、安価にしない限り、今後10年以内に仮想通貨が銀行業界のビジネスモデルをひっくり返す可能性が高いと述べている。
ダフィー教授は、ビットコインといった仮想通貨がまだメインストリームとなっていないことやフェイスブックの仮想通貨リブラに逆風が吹いていることに目を惑わされるべきでないと指摘。
「未来は近づいている。この技術を利用できない伝統的な銀行には非常に壊滅的な結果となるだろう」
ドルとペッグしたステーブルコインもしくは中央銀行デジタル通貨(CBDC)であろうと、デジタル通貨モデルによって、銀行が10年以内に現在の低金利で享受しているメリットを失う可能性が高いと主張する。
「新しいペイメント手法により、預金競争が激化するだろう。消費者が支払いをより速く済ませる方法があり、事業者が銀行を必要とせずに収益に迅速にアクセスできるようになれば、人々は極端に低い金利を払うだけの銀行口座にお金を残そうと思わなくなる」
ダフィー教授が指摘しているが、米国だけでも消費者と企業は非常に低い金利にも関わらず、銀行に約14兆ドルもの預金をしている。
「銀行の普通預金口座に預金をしても0.1%未満の利息を得るだけだ。対照的に、銀行が通常のオーバーナイトローンで稼ぐ額は、15年の0.3%から現在は2%以上に増加している」
銀行はこれによって大きな利益が保証されている上、クレジットカードベンダーから高額の手数料も請求しており、このコストはほとんど消費者に転嫁されていると、ダフィー教授は述べる。
フェイスブックの仮想通貨リブラのようなものが登場すれば、消費者や企業が魏の句を迂回することになるという未来が「近づいている」(ダフィー氏)。
「テクノロジー、経済状況、そして一般の人々の圧力が組み合わされ、従来の銀行がグローバルな決済システムを持ち続けることはできなくなるだろう」
翻訳・編集 コインテレグラフ日本版