イーサリアム共同創設者であるヴィタリク・ブテリン氏は、ステーブルコイン業界は異なるブロックチェーン間の相互運用性を向上させる貴重な機会を逃していると考えているようだ。

5月20日のTwitterのスレッドで、ブテリン氏はステーブルコインによってユーザーが異なるブロックチェーン間で価値を移動できるようになる可能性があることを示唆した。

「例えば、すべてのステーブルコインはインスタントなクロスチェーンブリッジになるかもしれない」

ビットコイン(BTC)の活動家で独立系開発者であるUdi・Wertheimer氏は、ブテリン氏が提案したことと似たようなものが仮想通貨取引所ですでに可能であると指摘した。同氏は、ユーザーがテザーのイーサリアムバージョンを仮想通貨取引所バイナンスに預けて、すぐにオムニプロトコルやトロン(TRX)バージョンなどを引き出すことができると説明した。

一方、ブテリン氏は、ユーザーが取引所で資金を移動する必要のないブリッジがあればいいのではないかと指摘した。

「テザーやUSDCと他のステーブルコインが標準化されたAPI(おそらく 「ブリッジ・コントラクト」ERC)に同意してくれれば、私はもちろんそれがベストだと思う。そうすれば、コインを移動するためにバイナンスのアカウントをわざわざ扱う必要はない」

ユーザーは分散化を気にしない

Wertheimer氏は、ブテリン氏のような業界のインサイダーは分散型ソリューションを好むが、ユーザーはシステムが相互に接続されている限り、システムがどのように動作するかはあまり気にしていないと指摘する。

一方、テザー社の最高技術責任者パオロ・アードイノ氏は、相互運用性の欠如はすべてのデジタルトークンに関わる問題であると強調。同氏はステーブルコインの発行者ではなく、第三者がこの問題を解決するシステムを実装すべきだと主張した。

「テザー社はステーブルコインの発行者だ。この問題を解決するためのプロジェクトはすでに多くある。これはすべてのブロックチェーン上のすべてのトークンに適用される一般的な問題です。(中略)今、テザーはこの問題を解決しようとしているプロジェクトにアドバイスをしている。(中略)そのため、我々はこのプロセスで積極的な役割を担っている。我々は自分たちで解決策を開発しているわけではない。」

困難な解決策 

アードイノ氏は、相互運用性プロトコルを開発する上での最大の課題は、関係する各ブロックチェーンのセキュリティ面の仕様を完全に理解することだと述べている。

ブロックチェーン間ブリッジの実装の難しさは、今月初めに発生した、ビットコインからイーサリアムへの非カストディアンブリッジがバグのために発売からわずか2日後にシャットダウンした事件でもわかる。

1月末にシスコイン-イーサリアム間ブリッジをローンチしたシスコインの共同創設者でありリードコア開発者であるJagdeep Sidhu氏は、ブロックチェーンブリッジの開発の課題について次のようにコメントしている。

「ソリューションを迅速に市場に投入するために犠牲を払ったり、市場主導型の取引メカニズムやリクイディティ・プロバイダーにコアの相互運用性を開発させることは、プロジェクトにとっては容易なことだ。しかし、複数の発見を経験したり、規制や法的要件のために企業の採用が障害となることがある」

Sidhu氏はコインテレグラフに、シスコインはそのブリッジを実装する際に安定コインの発行者と協力することに「最も確実に」興味を持っているだろうと語った。一方、アードイノ氏は、テザーを新しいブロックチェーン上に導入することに興味のあるサードパーティは、独立して自由に移植することができるとした。

「テザーはパブリックブロックチェーン上にあり、コミュニティはテザーをあるチェーンから別のチェーンに移動させるために、これらのクロスチェーン製品を構築して使用することができる。それが魅力だ。」

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン