南アフリカ準備銀行(SARB)は、6年前に公表されたビジョン2025の目標達成に向けたデジタル決済ロードマップを発表した。
レポートによると、同国におけるデジタル決済技術の導入は「停滞気味」であるという。同レポートでは、このビジョン達成に向けた取り組みとして、仮想通貨と中央銀行デジタル通貨(CBDC)の計画が含まれている。
調査の結果、南アフリカの金融サービスセクター、特に銀行業務は十分に発達しているものの、所得水準が低いもしくは中程度の国民は依然として現金に依存していることが明らかになった。デジタル決済技術の進歩にもかかわらず、利用コスト、金融リテラシーの低さ、アクセス制限、そして信頼欠如が普及を妨げている。
今回のロードマップでは、フィンテックのアクセシビリティ向上、決済インフラの近代化、利用障壁の撤廃に向けたハイレベルな計画が示されている。この計画の範囲は国内のみを対象としている。
南アフリカでは、仮想通貨は法定通貨ではないが、禁止もされていない。例えば、同国のオンラインおよび実店舗小売チェーンPick n Payは、1,600以上の店舗でビットコインによる支払いを受け付けている。SARBは、規制のための国際的なベストプラクティスを模索しており、分散型台帳技術のさらなる活用にも前向きだ。
「(規制が整備されるまでの)当面の間、SARBは、規制サンドボックス内で国内決済に使用される適格なステーブルコインのテストを許可する」
SARBは、サンドボックスの期間は2年とした。仮想通貨は、取引所のライセンス供与を通じて、南アフリカの金融システムにも統合されつつある。
CBDCも同様の扱いを受ける予定だ。SARBは、2021年にリテールCBDCの調査を開始した。CBDCは、より費用対効果が高く、リアルタイムのオンラインとオフラインのピアツーピアデジタル決済を実現する可能性を秘めている。ロードマップでは、リテールCBDCとホールセールCBDCの両方のさらなる調査を2年間続けることを提案している。

一方でトークン化は、南アフリカにおいて規制上の障壁に直面している。SARBは、特にセキュリティ強化という点でトークン化の利点を指摘しているが、次のような課題を持っている。
「既存の規制は、トークン化されたユースケースに対して十分に具体化または適用可能ではないため、決済エコシステムにリスクをもたらす規制外の、または規制不十分な決済活動が行われる可能性がある。」