スクウェア・エニックスのCEOである松田洋祐氏は1日、年頭所感で、「分散型ゲーム」を同社のポートフォリオに組み込んでいくことが「今年以降の大きな戦略的テーマ」であると述べた。

松田氏は、ゲームを純粋に楽しむ「Play To Have Fun」から、ゲームで遊びながら収益をえる「Play To Earn」、さらにゲーム自体に貢献する「Play To Contribute」まで様々な動機を持ったユーザーがゲームに関わるために必要な技術基盤がブロックチェーンであると強調。そしてトークンエコノミーが進むことによって自律的なゲームの成長を促し、「分散型ゲーム」のエコシステムが今後のゲームの潮流の一つになると予想した。

これまでのゲーム会社が開発したものをユーザーが遊ぶという一方通行型のゲームを松田氏は「中央集権型ゲーム」とし、これと対比した相互に関わりながら成長するゲームを分散型ゲームであるとした。そして「ゲームに関わる様々な動機を持った人々の声にしっかり耳を傾けながら、将来的な自社トークン発行も見据え、事業展開を本格化させてゆきます。」と今後の意向を語った。

メタバースが本格的なビジネスに

松田氏は年頭所感の中で、2021年を振り返り、FacebookがMetaに改名したことは、メタバースのコンセプトが一過性の流行ではないことの証明であることを強調した。社会が徐々に仮想世界と地理的な境界を越えて個人を結びつける能力を受け入れ始め、2022年はメタバースにとって本格的なビジネスフェーズの年になると予想した。

同氏は、拡張現実技術、クラウドコンピューティングの利用拡大、5Gがすべてメタバースの存在につながると考えている。松田は、このコンセプトを論じながら、次のように述べた。

「メタバースという抽象的な概念が具体的なプロダクト・サービスとして提供される段階になってくるなかで、我々のビジネスにもより大きなインパクトを与える変化をもたらすのではないか、と期待しています。」

ブロックチェーンへの投資は今も急増しており、ブロックチェーン技術を正統化しようと最も頑強に取り組んでいるのが、ゲームビジネスの企業だ。スクウェア・エニックスはイーサリアムベースのメタバースゲーム「The Sandbox」の200万ドルの資金調達ラウンドに参加し、メタバースに投資していた。

松田氏の所感は、ユービーアイソフトがNFTとブロックチェーンの野心にこだわり続けるという業界の動きとも一致する。ゲーム業界のもうひとりの大物、ゲーム会社エレクトロニック・アーツのアンドリュー・ウィルソンCEOは、NFTとプレイ・トゥ・アーンのゲームがどのように機能するかを把握するのはまだ早いにもかかわらず、ゲームの未来であると述べている。