米連邦議会の犯罪・テロに関する小委員会が26日に開催した公聴会で、証人らは不正な選挙献金を行うのに仮想通貨が使用される可能性への懸念を表明した。

 リンゼー・グラム上院議員が主催した「我が国の選挙の保護:外国による政治的干渉の手段としてのシェルカンパニーと仮想通貨の調査」と題されたこの公聴会には、ダークタワーのスコット・デューウィク氏、ファイナンシャル・インテグリティ・ネットワークのデイビッド・マレー氏、センター・フォー・レスポンシブ・ポリティクスのシーラ・クラムホルツ氏が証人として参加した。

 アイデンティティ決済協会(IDPAY)の会長も務めるデューウィク氏は証言中に、仮想通貨は米国の政治プロセスに影響を及ぼすのに「もってこい」だと述べた。デューウィク氏は、ビットコイン(BTC)などの仮想通貨と他の中央集権型の仮想通貨システムの両方を分析対象に含めたことに言及した上で、「犯罪者はこういったシステムの相対的な匿名性をありがたいものとして捉えている」と述べた。

 デューウィク氏によると、仮想通貨が世界的規模に達することの問題は、「世界のあらゆる場所を米国につなげ、また潜在的に政治家候補の懐にもつなげるような、多数の取引所のネットワーク」を生み出す可能性があることという。

 ファイナンシャル・インテグリティ・ネットワークの副社長であるマレー氏は、外国人が米国の選挙資金法を回避するため仮想通貨を使用する危険性に関するデューウィク氏の評価に同意した。マレー氏は証言の中で、仮想通貨が他の仮想通貨に交換される際に透明性の問題が生じると述べた。

「取引所は、好意的な規制制度を求めて拠点とする国を次々に替えることができる。また、取引所がユーザーに与える匿名性は、選挙資金法に逆らおうとする外国の敵にとって魅力的である可能性がある」

 デューウィク氏の主な懸念事項の一つは、米国の政治システムに影響を及ぼすためのロシアによる仮想通貨の使用だ。ロシア政府が独自の仮想通貨を発行することに興味を抱いていることや、13%の仮想通貨関連税の導入を検討していることが、「ロシアを、ビットコインや他の仮想通貨を用いたマネーロンダリングから利益を得るような立場に置く可能性がある」とデューウィク氏は述べた。

 デューウィク氏はブロックチェーン技術の「驚くべき可能性」について称賛し、仮想通貨とブロックチェーンの両方について、「これらのシステムは、現金やクレジットカードよりも本質的に悪いというわけではない。仮想通貨やブロックチェーンに汚名を着せるべきではない」と述べた。

 デューウィク氏は、仮想通貨の犯罪目的の使用の特定に取り組む政府機関と民間のパートナーシップを組み合わせた、今後の国際レベルでの協力を提唱した。

「委員会は、維持すべき目標を設定し、インターネット決済システムや仮想通貨とその使用法の、世界を代表する提唱者としての米国の地位を引き続き確立していくのが賢明だろう」

 先週、米下院の倫理委員会は、下院議員に対して1000ドル以上の仮想通貨の保有状況を開示することを義務付ける命令を出した。