インドの最高裁判所は3月4日、インドの中央銀行「インド準備銀行(RBI)」による仮想通貨禁止の命令を違憲として、RBIに対し命令を撤回するよう要請した。ただし、すべての銀行が最高裁判所による判決を遵守しているわけではないようだ。

フィンテック分野の弁護士モハメッド・ダニッシュ氏は3月12日、特定の国内銀行による「恣意的な拒否」に関しRBIに申し立てを行い、仮想通貨の売買(を行う組織)をサポートした。

同氏は、インドの仮想通貨メディア「クリプト・カヌーン」の共同設立者であり、ブロックチェーンおよび仮想通貨関連の訴訟およびアドバイザリーサービスを専門としている。

「銀行の拒否は有効ではない」

RBIは2018年4月、銀行に対して仮想通貨関連の取引禁止や、仮想通貨関連の個人や企業へのサービス提供禁止を命じた。ダニッシュ氏によると、この禁止は最高裁によって「完全に」取り消されたものの、HDFC商業銀行やインダスインド銀行など仮想通貨関連取引の処理を拒否し続けている銀行が散見されるという。

ダニッシュ氏は次のように述べた。

「ほとんどの場合、銀行は書面によるコミュニケーションを一切行っていないが、RBIからの通知を待っていることを顧客に対して口頭で知らせた」

ダニッシュ氏によると、最高裁はRBIに対して、3月4日の判決をもとに裁判所命令を遵守するよう銀行に通知するなどを指示しておらず、「最高裁は注意をうながすことが適切」と付け加えた。

また、最高裁の3人の裁判官による満場一致の判決だった点を受けて、ダニッシュ氏は次のように指摘した。

「仮想通貨売買に関しサービス提供を拒否する銀行は、法律の観点からみて間違いなく違法で、不当かつ恣意的であり、裁判所命令に対する故意の不服従に該当する」

ダニッシュ氏は、RBIによる規制対象の事業体(銀行)は、裁判所命令を遵守し、正当な取引に対する銀行サービスを公平に提供しなければならないと付け加えた。

再審査を申請する計画が報じられる

インドの新聞エコノミック・タイムズは3月6日、RBIが裁判所命令に反対し、再審査を申請する予定であることを示す資料を明らかにした。RBIと、その権限下にある組織との調整不足は、この計画があるためだという。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン