ソフトバンクは26日、ブロックチェーン技術開発を手掛ける米企業TBCASoftと、ブロックチェーン技術を使った個人のID情報管理・認証の有用性を検証するワーキンググループを発足させたと発表した。

ソフトバンクや米スプリント、台湾のファーイーストン(遠傳電信)など通信事業者(キャリア)で組織するコンソーシアム「キャリア・ブロックチェーン・スタディー・グループ(CBSG)」の中で、発足させた。

TBCSoftは新しいアプリケーション「クロス・キャリア・アイデンティフィケーション・システム(CCIS)」を構築。CCISを利用することで、ブロックチェーンを活用したID情報管理や証明書の検証を容易にすることができるという。

ソフトバンクは、現在のID情報管理システムが「多数のユーザーを持つ特定の企業などにより管理された中央集権的なデータベースに頼っている」と指摘。ユーザーが中央集権的なデータベースと連携する無数のサービスプロバイダーに、氏名や住所など個人情報を開示している状況だと述べる。

CCISのシステムはこういった中央集権型サービスとは異なり、「ゼロ知識証明と分散台帳技術により、ユーザーは通常共有したくないであろう個人の詳細な情報を提供することなく、IDの発行・保管・認証ができる」という。

ソフトバンクのテクノロジーユニットの技術戦略統括 ITサービス開発本部長の福泉武史氏はCCISに対する期待を次のように述べている。

「ID情報管理・認証は、プライバシー保護の観点から、品質にばらつきのあるデータベースに多くのユーザー名やパスワードを保存するのではなく、暗号化された電子IDが作られるべきだと考えています。… 私たちは、この答えはCCISにあると考えています」

TBCASoftは22日、ソフトバンクやファーイーストンから資金調達をしたことを発表している。キャリアで組織するコンソーシアムも台湾と日本でモバイル決済のフィールドテストを完了させており、ブロックチェーン技術の実用化に向けて具体的な取り組みがスタートしている。