ソフトバンクをはじめ、世界の通信事業者(キャリア)で組織するブロックチェーンコンソーシアム「キャリア・ブロックチェーン・スタディ・グループ(CBSG)」は、ブロックチェーンを使ったモバイル決済のフィールドテストを成功させた。CBSGのメンバーでブロックチェーン技術開発を手掛けるTBCASoftが22日に発表した。
この実地試験は、今年1月にソフトバンクと台湾の遠傳電信(ファーイーストン)が行った。ソフトバンクのユーザーが、台湾でファーイーストンのネットワークを利用し、モバイルウォレットを使って加盟店で商品を購入した。またファーイーストンのユーザーが、ソフトバンクのネットワークを利用し、日本での買い物も行った。
この試験では、通話料と合わせて利用料を徴収する「キャリアビリング」が使われた。通信事業者のネットワーク上で決済を済ませることで、ユーザーは自国通貨で決済でき、クレジットカードの海外取引手数料を支払わなくて済むことになると、TBCASoftは述べている。
ソフトバンクとファーイーストンとは、今回の試験が成功したことを受け、決済ビジネスのビジネスモデルや将来の商業利用に向けた試験実施について協議を行っているという。
CBSGは参加メンバー拡大
CBSGは17年9月にソフトバンクやTBCASoft、米スプリントなどが参加してスタートしたコンソーシアムだ。TBCASoftが開発したブロックチェーン技術を活用し、キャリア間のブロックチェーン決済システムの構築を目指して発足した。
22日の発表では、コンソーシアムへの参加企業拡大も発表された。台湾の亜太電信、アラブ首長国連邦のdu、南アフリカのMTNグループの3社が新たに加盟。コンソーシアムの参加企業は15社となった。
ソフトバンク宮内氏「ブロックチェーンは通信業界にとって破壊的技術」
またTBCASoftはシリーズAの資金調達を実施したと発表。この資金調達ラウンドには、ソフトバンクやファーイーストン、フォクスコン・ベンチャーズが参加した。調達額は明らかにしていない。
ソフトバンクの宮内謙社長兼CEOは、発表の中で、ブロックチェーン技術へ強い期待感を示している。
「ブロックチェーン技術は、通信業界にとって、根本的なブレークスルーを可能とするディスラプティブ(破壊的)な技術だ。ソフトバンクは、クロスキャリア・ブロックチェーンプラットフォームのビジョンを重要視している」