ニューヨーク大学のブロックチェーン専門家によると、スマートコントラクトは、IoT(モノのインターネット)センサーと組み合わせて実装されなければ、その効用が制限されることになる。
ニューヨーク大学の経営大学院スターンスクールの研究者ハンナ・ハラブルダ氏とヤニス・バコス氏は、仮想通貨(暗号資産)・ブロックチェーンのカンファレンス「Unitize」で、ビジネス効率化におけるスマートコントラクトとIoTセンサーの相互作用に関する研究を報告した。
スマートコントラクトはビジネスをより民主的にする
研究によれば、「スマートコントラクトがビジネスをより民主的にするものであり」、すべての関係者に利益をもたらすことになるという。しかし、スマートコントラクトのみを実装するだけでは、その効用は限定されてしまうことになる。
ハラブルダ氏は、IoTは取引分野でスマートコントラクトのメリットを最大化するために重要であると説明した。「それは問題を解決することになるが、部分的にしか解決しない」と述べ、スマートコントラクトを追加しただけでは、モノのデリバリーの質向上にはならないと指摘する。
ハラブルダ氏は果物の配送企業と小売業者との間の契約を例として挙げ、スマートコントラクトは自動実行の問題を解決するが、果物の品質を保証するために運送会社側に動機を与えることはできないと説明している。
ただし、IoTセンサーをプロセスに追加すれば、スマートコントラクトの条件が増えることになる。保存されている果物の品質(保管温度など)に基づいて支払額を調整するようなことができる。その結果、契約の当事者の両方が、合意の一部を完了するために他方を信頼する必要がなくなる。
年間3000億ドルの節約
コインテレグラフ・コンサルティングとヴィチェーン(VeChain)による最近のレポートでは、ブロックチェーン技術とIoTとを組み合わせることで、食品業界で7年以内に年間3000億ドルを節約できると指摘している。
ヴィチェーンのサニー・ルーCEOは、「国際的な食品取引と大規模なトレーサビリティプラットフォームにおける私たちの経験から、ブロックチェーン技術を食品のバリューチェーンに導入すれば、長期的な利益がビジネス全体に適用される」と語っている。
IBM、ウォルマート、カルフールといった大手企業では、IBMのブロックチェーンソリューション「フードトラスト」を実装している。
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン