シグネチャー銀行の破綻をめぐる調査では流動性不足や経営不振が原因とされているが、連邦預金保険公社(FDIC)のマーティン・J・グリュンバーグ総裁は、シグネチャー銀行が仮想通貨に関連するリスクを理解できなかったことが破綻を加速させたとの見方を示した。

グリュンバーグ氏は「金融監督当局の監督」に関する公聴会で、シリコンバレー銀行(SVB)やシルバーゲート銀行の最近の破綻を取り上げ、他行の株価急落や預金流出につながったと指摘した。FDICのチーフ・リスク・オフィサーが作成した関連報告書では、シグネチャー銀行の破綻の根本原因として「経営不振」が挙げられている。グリュンバーグ氏は、同銀行が適切なリスク管理なしに無保険預金に過度に依存していたことを指摘しながら、「さらに同銀行は2022年末から2023年にかけての仮想通貨業界の混乱からの伝染リスクや、仮想通貨業界の預金に対する関与と依存のリスクを理解できなかった」と付け加えた。

規制当局や銀行関係者は、預金流出が銀行破綻の主要な要因の一つであることに同意しているが、SVBのグレッグ・ベッカー元CEOは、上記の要因の中で利上げが同行の破綻につながったと非難している。ベッカー氏によれば、どの銀行も「あの速度と規模の銀行取り付け騒ぎを生き抜くことはできない」。

グリュンバーグ氏は、SVBとシグネチャー銀行の破綻により、それぞれ161億ドルと24億ドルの損失が発生したと明らかにした。最後に、グリュンバーグ氏は、総資産が1000億ドル以上の銀行は「特別な注意が必要であり、整然とした解決策を促進するための長期債務要件を検討する必要がある」と述べた。

一方で、米会計検査院(GAO)の予備的なレビューでは、シグネチャー銀行の破綻について、仮想通貨へのエクスポージャーを明確に非難していない。コインテレグラフが以前報じたように、多くの規制当局や議員は、シグネチャー銀行、シリコンバレー銀行、シルバーゲート銀行の破綻を仮想通貨と関連付けて議論している。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン