7日のシエラレオネ大統領選挙は、投票技術企業アゴラ(Agora)の支援で、世界初のブロックチェーンを導入した選挙となったとの多くの報道がなされた。しかし、シエラレオネ政府は、国家選挙委員会(NEC)による選挙結果の集計には、ブロックチェーンを使用していないと正式に否定した

  選挙での役割について国民へ意図的に誤解を与えているという批判を受けたアゴラは19日、ブログサービスのミディアム(Medium)で公式声明を発表した。声明では、選挙での同社の正式な役割は、国際的なオブザーバーとしてであったと説明し、同社の選挙向けブロックチェーン・テストを利用して、公式の選挙結果を数えるとは決して言わなかったと、同社の以前の声明を強調した。

 ミディアムへの投稿によると「アゴラはNECから承認を受け、シエラレオネ西部280ヶ所の投票所をカバーして、選挙では(同社の)技術が部分的に導入された」と述べた。

 シエラレオネ国民投票の記録プロセスは、以下のようなものだった:有権者が紙の投票用紙を箱に入れる、それが選挙監視員の前で開票され声に出して数え上げられる、アゴラは「ブロックチェーンを用いたデジタル機器に手動で各投票を入力する」。同社はミディアムへの投稿で、投票箱がNEC地域集計センターに持ち込まれた後は、アゴラの役割は何も無かったと主張している。

 フランスの報道機関RFIが指摘したように、NECの結果とアゴラの結果の食い違いは、無効票を検討するシステムの違いに起因するものと考えられる。

 アゴラはまた、シエラレオネ・オープン・エレクション・データ・プラットフォーム(SLOEDP)という組織による同社への「ターゲットを絞ったキャンペーン」についても詳しく述べている。アゴラによると、おそらく両組織の技術の性質が重なっているため、SLOEDPはジャーナリストに連絡し「我々が選挙へ関与するのを攻撃している」とのブログ記事を書いたという。

 シエラレオネの首都フリータウンにあるセンシ・テック・ハブ(Sensi Tech Hub)の創設者モーリス・マラー氏はFRIに対し、「私が懸念しているのは、事後の誇大宣伝だ」と述べた。

 「この人たち(アゴラ)が言っていることは素晴らしい。しかし、彼らは基本的に結果の紙カードを取ってシステムに入力したので、本当に試したわけではない。他の誰もがやっていることで、新しいものではない」。

 アゴラは、共に前進するようSLOEDPを招待する形でミディアムへの投稿を締めくくった。

 「センセーショナルな見出しはインターネットの標準となっており、両社と報道機関は、事象を正確に捉える責任があることに同意する。これはアゴラにとって初の大規模なメディアイベントだったが、今後この目標をさらに支える内部ポリシーを作成している。我々は、シエラレオネでデジタル的に検証可能な選挙の確立につながる、肯定的かつ正直な対話を設けるため、アゴラと行動を共にするようSLOEDPを招待する」。