地球から火星へ、わずか3分でビットコインを送る方法についての研究が登場した。
先月末、テック起業家のホセ・E・プエンテ氏とカルロス・プエンテ氏がホワイトペーパーを発表し、「Proof-of-Transit Timestamping(PoTT)」という概念を提唱した。これにより、ビットコインを惑星間通貨にすることができるという。
スタンプを押して送る惑星間ビットコイン
プエンテ氏によれば、将来ユーザーが火星にビットコインを送金する際、地上アンテナや人工衛星、月周回の中継局などを経由しながら転送される。そのたびに「スタンプ」が押され、最終的に火星に到達する仕組みだ。
PoTTはビットコインやライトニングネットワークの「受信レイヤー」として機能し、NASAやイーロン・マスク氏のスターリンクなどが構築する光リンクを活用する。
「技術は基本的にすでに整っている。地球と火星の間に安定したリンクが確立されれば、PoTTはその上に乗り、ビットコインは史上初の惑星間通貨として機能できる」とプエンテ氏はコインテレグラフに語った。
実際に稼働すれば、ビットコインのライトニング送金は最短3分、最悪でも22分で火星に届くという。
火星ではおよそ26カ月ごとに、太陽の背後に隠れる約2週間の「ブラックアウト」が発生する。プエンテ氏は「中継衛星を利用して太陽を迂回するルートを構築すれば解決できる」と述べた。
PoTTは通常のビットコインのタイムスタンピングと似ているが、それを宇宙空間にまで拡張できる点が特徴だ。
「2050年、あなたが地球から火星の友人に家賃を送ると想像してほしい。メッセージは複数の中継局を経由し、そのたびに到着時刻と出発時刻が刻印される。まるで国境の検問所でパスポートにスタンプを押されるようなものだ。最終的に火星に届いたとき、すべてのスタンプを確認すれば、どの経路をたどり、いつ移動したかが分かる」とプエンテ氏は説明する。
ビットコインはすでに宇宙へ
この概念は2018年12月にブロックストリームが行った「ビットコインを5基の衛星と接続する」実験に基づいている。さらに2020年8月にはスペースチェーンが国際宇宙ステーションから初のビットコイン取引を実施し、地球外で受け取れることを実証した。
🚀 8 years of #Bitcoin in orbit. @Blockstream Satellite has beamed Bitcoin blocks, transactions, and data from space 24/7, for free, to the entire planet.
— JAN3 (@JAN3com) August 15, 2025
From Earth to orbit... to everywhere. Thank you @adam3us! ⚡pic.twitter.com/rWmdzagRWM
ただし、火星でビットコインを送受信するためには、人間やAIが現地に存在する必要がある。現状では探査機やローバーが火星を調査しているに過ぎない。
マスク氏も「標準通貨の必要性」に同意
スペースXを率いるイーロン・マスク氏は、2026年までに火星到達を目指しており、自給自足型の都市建設を長期目標に掲げている。
マスク氏は地球と火星間で取引するための標準通貨が必要だと考えており、従来はビットコインの10分ブロックタイムに懸念を示していたが、プエンテ氏は「PoTTとライトニングがあれば解決できる」と主張する。
「PoTTとライトニングは、マスク氏が求める現実的な解決策を提供する。ローカルな高速性とグローバルな決済を両立させ、惑星間で機能する」と同氏は語った。
プエンテ氏は「もし人類が本気で多惑星文明を目指すなら、特定の企業や政府、地上局に依存しないオープンで中立的な通貨基盤が必要だ」と述べ、ビットコインこそが最適な候補だと強調した。
PoTTは火星に限らずあらゆる惑星へ
PoTTは火星だけでなく、月や他の惑星への送金にも対応できるよう設計されている。生成される「トラベルレシート」はどの惑星に送られても有効であり、研究はまず地球と火星を事例として焦点を当てているという。
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