仮想通貨業界のある幹部によると、これまでに自己管理型ウォレットに送られたビットコイン(BTC)の量を測定する方法はないという。主要な仮想通貨取引所に対する訴訟に関する懸念が続く中、投資家たちは仮想通貨取引プラットフォームからビットコインを次々と引き出している。

仮想通貨インテリジェンスプラットフォームSantimentのデータによると、6月中旬時点で、ビットコインの取引所供給量は2018年2月以来の最低水準に落ち込んでいる。取引所からの大量の資金流出は、バイナンスやコインベースをめぐる不確実性が増す中、仮想通貨の自己管理が増加していることが引き金となっているとSantimentは指摘している。

BTC supply on exchanges since June 2017. Source: Santiment

Santimentのマーケティング責任者ブライアン・クインリバン氏は、自己管理の増加は仮想通貨市場に大きな影響を与えているとコインテレグラフに語る。自己管理がもたらす最も顕著な結果の1つは、流通が減少し、CoinGeckoやCoinMarketCapなどのウェブサイトで追跡される時価総額が減少する傾向があることだ。

「取引所からコインが移動すると、流通量が減少する傾向がある」とクインリバン氏は述べ、自己管理の増加は、コインの停滞という形でデメリットをもたらすと指摘した。「この停滞は、ネットワーク全体のユーティリティが低下することで、時価総額に悪影響を与える可能性がある」と指摘する。「ただし、取引所での活動が健全な量であれば、これまで通り、この現象の悪影響を相殺するのに十分であるはずだ」。

クインリバン氏は、取引所からのコインの移動は、市場に長期的な影響を与えるとも指摘した。「トレーダーは、大量のトークンが突然、大口投資家によって取引所から引き出されると、価格がすぐに上昇すると考えることがあるが、通常はもっと緩やかな上昇が見られる」と言う。

クインリバン氏は、ビットコインの取引所での供給量が、2020年3月の暴落した「暗黒の木曜日」の16.1%から、現在では9.8%に急落したことに言及した。「この期間、価格は283%上昇している」とクインリバン氏は付け加えた。

自己管理のトレンドが拡大し続ける中、クインリバン氏によれば、現時点では、コールドウォレットにどれだけのBTCが保管されているかを正確に把握することはできないという。「存在するすべての取引所アドレスを把握していると仮定したら(実際には誰も知らないが)、これらの取引所アドレスをすべて差し引けば、コールドウォレットにどれだけいどうしたかを正確に測定できるだろう」と同氏は述べた。

クインリバン氏は、現時点では、ブロックチェーンアナリストは最善の推定を行うしかないと述べた。「これが、私たちのビットコイン取引所での正確な9.8%の数字が、他のデータと比較してわずかに異なる可能性がある理由だ。ただし、時間が経つほど、より正確なデータを取得できるようになる」とクインリバン氏は指摘した。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン