日本暗号資産市場社は30日、今年中にもステーブルコイン「ICHIBAコイン」を発行する予定であると発表した。ティッカーはICB。

発行するコインはERC20型で前払式支払手段となる。法的に事業者用自家型前払式支払手段となり通貨建のため、仮想通貨(暗号資産)には該当しない。

1コイン=1円として発行し、オープンソースの分散型取引所(DEX)であるユニスワップ(Uniswap)で取引可能になる予定だ。

日本暗号資産市場社は「資金決済法により払い戻しが原則禁止されているため、ステーブルコインとして使用する際は価値を維持することが困難であり、だいたい安定通貨(ステーブルコイン)として成功した前払式支払手段はありませんでした。」と説明。さらにICBは資金決済法の適用外である前払式支払手段であることから発行体による買い戻しが可能であり、発行体が0.99円までの買い戻しを宣言することでステーブルコインとして機能できるとしている。

ユースケースとしては同社が運営する古物市場の売買代金の支払にしようする他に、古物商などの事業者が仕入れる際に1CB=1円で使用できるようにするという。

日本暗号資産市場の岡部典孝代表はコインテレグラフに対し、今回ステーブルコインを発行した理由について、通常のキャッシュレス決済にはない利点を以下のように説明した。

「古物市場では売上に対する市場の手数料率が5-10%なので、キャッシュレス決済で3%前後の手数料を取られると全く成り立たずキャッシュレス決済が使われていない現状があります。」

さらに、現在の古物市場の課題について、キャッシュフローが悪化しやすい点をあげ、ステーブルコインはその解決策になると話した。

「当社の古物市場では出品者と落札者にインセンティブを出すことで出品者と落札者双方を増やしたいと考えております。ステーブルコインで取引した古物商に取引量に応じてERC20の無償ポイントを付与することでキャッシュフローを悪化させることなくインセンティブを出せるのではないかと思っています」