米証券取引委員会(SEC)の5人の委員会は、仮想通貨企業が将来的にデジタル資産のカストディアンとしての役割を果たすことを困難にする可能性のある提案に4対1で賛成した。

2月15日のSECのゲイリー・ゲンスラー委員長の声明によると、この提案はまだSECによって正式に承認されていないが、「2009 カストディアン・ルール」の改正は仮想通貨を含む「すべての資産」のカストディアンに適用されるとしている。

ゲンスラー氏は、現在カストディサービスを提供している仮想通貨取引プラットフォームの中には、実「適格カストディアン」ではないものがあると述べた。

SECによると、適格カストディアンは一般的に連邦または州政府認定の銀行または貯蓄組合、信託会社、登録ブローカーディーラー、登録先物取引業者または外国金融機関である。

新たに提案された規則の下で「適格カストディアン」になるためには、米国およびオフショアの企業はさらに、仮想通貨を含むすべてのカストディ資産が適切に分離されていることを確認する必要がある。これらのカストディアンは、公認会計士による年次監査などを行う必要がある。

ゲンスラー氏は、これらの改正がすべての資産クラスに「範囲を拡大」すると述べた一方で、特に仮想通貨業界を狙い撃ちした。

「間違いなく、今回のルールは、かなりの量の暗号資産をカバーしている。さらに、一部の仮想通貨取引および融資プラットフォームは、投資家の仮想通貨を保管していると主張することがあるが、それは彼らが適格なカストディアンであることを意味するものではない。これらのプラットフォームは、投資家の仮想通貨を適切に分離するのではなく、それらの資産を自身の仮想通貨や他の投資家の仮想通貨と混在させている」

「このようなプラットフォームが倒産すると、最近何度も見てきたことだが、投資家の資産はしばしば倒産した会社の所有物となり、投資家は破産裁判所の列に並ぶことになる」と、SEC委員長は付け加えている。

またゲンスラー氏は、業界の実績から、適格カストディアンとして十分な信頼性を持つ仮想通貨企業はほとんどないだろうと指摘した。

しかし、SECのメンバー全員がゲンスラー氏の計画に賛同しているわけではない。

ヘスター・ピアース委員は、この提案は「執行による規制」そのものではないが、仮想通貨業界を規制するために「最新のSEC声明は即効で設計されているようだ」と述べている

「ルール提案におけるこのような包括的な声明は、即座に効果を発揮するように設計されているようだ。これらの声明は、投資顧問が仮想通貨に関して顧客に助言することから直ちに手を引くことを促すものだ」と指摘している。

提案そのものについては、百害あって一利なしというのがピアースの考えだ。

このような厳しい措置により、投資家は詐欺や盗難を軽減・防止するための十分な保護措置を構築している事業者から資産を引き離すことを余儀なくされるだろうとピアース氏は述べた。

「本提案は、カストディ要件の範囲を暗号資産に拡大する一方で、適格な仮想通貨カストディアンを縮小する可能性がある。カストディに対して資産中立的なアプローチを主張することで、暗号資産の投資家が盗難や詐欺に遭う可能性が低くなるどころか、より危険にさらされることになりかねない」

次のステップとしては、官報に掲載された後、60日間の意見公募を行う予定だ。

しかしピアース氏は、この期間では、国民が提案のすべての側面を分析するのに十分でないことを懸念している。同氏によると、賛成票を投じた人たちは、12カ月から18カ月以内に新しい規則を導入することを望んでいるという。