米商品先物取引委員会(CFTC)の委員の1人であるキャロライン・ファム氏は、米証券取引委員会(SEC)がコインベースの元プロダクトマネージャーに対して起こした事件の影響可能性について懸念を示している

ファム委員は21日、コインベースの元プロダクトマネジャー、イシャン・ワヒ氏とその弟ニキル・ワヒ氏、アソシエイトのサミア・ラマニ氏に対するSECの訴状で、9つのトークンを「暗号資産証券」としたことから、この件を超えて「幅広い影響を及ぼす可能性がある」と述べた。訴状では、ニキル氏とラマニ氏は、イシャン氏がコインベースから入手した、取引所に上場されるトークンに関する機密情報を利用して事前に購入を行い、インサイダー取引に関与したとされている。これによって3人は110万ドルの利益を得たとされている。

具体的には、SECが挙げたのはPowerledger(POWR)、Kromatika(KROM)、DFX Finance(DFX)、Amp(AMP)、Rally(RLY)、Rari Governance Token(RGT)、DerivaDAO(DDX)、LCX、XYOの9銘柄。3人が利益を得るために使ったとされる25種類の仮想通貨のうち9つを証券と判断した。ファムCFTC委員は、SECの行動は、特定の仮想通貨が証券であるかどうかの問題を、専門家の意見を取り入れながら、公衆を巻き込む透明なプロセスを通じて取り組むのではなく、「執行機関による規制」の一例であると批判した。

「規制の明確化は、暗闇の中ではなく、オープンな状態から生まれる。特定のユーティリティトークンやDAO関連トークンなど、様々なデジタル資産の法的地位に関する明白な疑問や公共の利益を考慮し、CFTCはあらゆる手段を用いて、法律を強力に執行し商品取引所法を支持するという法定命令を果たす」

この事件に対してコインベースは21日、4月に公開したブログ記事を更新。SECの告発を「不幸な気晴らし」と言及し、同様の懸念を示した。ニューヨーク南部地区連邦検事局もSECの事件と並行して起訴状を提出したが、Tribe(TRIBE)、Alchemix(ALCX)、Gala(GALA)、Ethereum Name Service(ENS)、POWR、XYOなど関与したトークンを証券として表示しなかった。

「DOJは証券詐欺を起訴しなかった」とコインベースは指摘。「当社のプラットフォームに掲載されている資産は有価証券ではない。」と話した。