米証券取引委員会(SEC)は、仮想通貨取引規制に関するラウンドテーブルに参加する仮想通貨企業や金融企業の幹部のリストを公表した。

4月7日の発表によると、SECは4月11日に仮想通貨取引の規制に関するラウンドテーブルを開催する。これは、今年設立された仮想通貨タスクフォースが主導する会議の第2弾となる。

今回参加するのは、ユニスワップ・ラボのチーフ・リーガル・オフィサーであるキャサリン・ミナリク氏、カンバーランドDRWのアソシエイト・ゼネラル・カウンセルであるチェルシー・ピッツォラ氏、コインベースで機関投資家向けプロダクトを担当するバイスプレジデントであるグレゴリー・トゥサー氏らが参加する。これらの企業はいずれも、かつてSECの調査対象となったことがある。

バイデン政権下でSECは、2023年6月にコインベース、同年10月にカンバーランドDRWを証券法違反の疑いで提訴したが、いずれの訴訟もトランプ政権下で取り下げられている

また、SECは2024年4月にユニスワップ・ラボに対しても法執行措置を視野に入れた調査を開始したが、同年2月には執行措置なしで調査を終了した

ラウンドテーブルにはさらに、ニューヨーク証券取引所のプロダクト責任者ジョン・ヘリック氏、仮想通貨ブローカーのファルコンX幹部のオースティン・リード氏、証券トークン化企業テクスチャ・キャピタルlのリチャード・ジョンソンCEO、カリフォルニア大学バークレー校の財務委員長であるクリスティーン・パーラー氏も名を連ねる。

投資家擁護団体ウィー・ザ・インベスターズの共同創設者デイブ・ラウアー氏、非営利団体ヘルシー・マーケット協会のCEOであるタイラー・ゲラッシュ氏も参加予定で、ラウンドテーブルのモデレーターは法律事務所グッドウィン・プロクターのパートナー、ニコラス・ロスルド氏が務める。

SEC側からは、委員長代行のマーク・ウエダ氏、仮想通貨タスクフォースの首席スタッフであるリチャード・ギャバート氏、SEC委員のキャロライン・クレンショー氏とヘスター・パース氏が出席する。

このラウンドテーブルは、SECが仮想通貨の明確化へ向けた取り組みとして始めた全5回の会合のうち第2回にあたる。第1回は3月21日に開催され、仮想通貨の法的地位が議題となった。今後予定されている3回の議論では、カストディ、トークン化、分散型金融(DeFi)が扱われる予定だ。

SEC職員による仮想通貨関連発言の見直し

こうした議論は、SECが仮想通貨業界の監督体制を見直す動きの一環で行われている。最近の施策として、職員による仮想通貨に関する発言の内容を精査し、必要に応じて修正または撤回することが検討されている。

委員長代行のウエダ氏は4月5日、Xで共有された声明の中で、トランプ大統領による規制緩和の大統領令および、イーロン・マスク氏が率いる政府効率化省(DOGE)からの勧告を受けて、仮想通貨に関連する過去の職員発言について見直しを進めていると述べた。

「この見直しの目的は、現行の委員会の優先事項に即して修正または撤回すべき職員発言を特定することにある」とウエダ氏は語っている。

リストの最初に挙げられたのは、2019年4月にSECの金融技術革新部門ストラテジック・ハブが発表した分析で、仮想通貨の販売が証券法上の「投資契約」に該当しうるという内容である。これは、SECが複数の仮想通貨企業を訴追する際に根拠とした主張だった。

さらに、ビットコイン先物に投資するファンドのリスクに関して投資家に注意喚起を促した2021年5月の投資運用部門の声明や、州認可銀行がカストディアンとしての基準を満たすかどうかについて意見した2020年11月の声明も見直し対象とされている。

そのほか、仮想通貨企業の破綻や市場崩壊が企業の業績に与える影響について、開示を促す内容だった2022年12月の企業財務部門の声明や、仮想通貨関連活動が投資家に独自のリスクをもたらすと警告した2021年2月の検査部門による文書も対象に含まれている。