米証券取引委員会(SEC)のヘスター・ピアース委員は、仮想通貨規制について、業界が極力自主的に取り組むのが望ましいとの考えを改めて示した。3月9日に開催されたMITビットコインエキスポ2019で、米CFTC元委員長のゲンスナー氏との公開演説で述べた。
ピアース委員は、昨年7月にウィンクルボス兄弟が申請していたビットコインETF(上場投資信託)を拒否した際、この決定に異を唱える声明を発表し、仮想通貨コミュニティの中では「クリプトママ」の愛称で呼ばれ、好意的な見方をされている。
今回、ゲンスナー氏が取引プラットフォームだけでなくセキュリティトークンや複雑な投資商品を網羅でき、ビットコイン(BTC)といったコモディティも管理できるような確固たる国家レベルでの規制枠組みの必要性を指摘。これに対してピアース委員は、次のように述べた。
忘れてはならないのは、人々は相互関係において互いに規制するものであり、それがビットコインのそもそもの概念で、自主的に規制することが可能なコミュニティだ。問題が起きれば、そのコミュニティの人々は対処法を考える。政府による規制もひとつのモデルだが、私はそれが唯一のモデルだとは考えない。
ゲンスナー氏の発言は、マネーロンダリング防止や国家間における通貨規制強化など、投資家保護の改善の点において、社会全体に浸透する国家レベルでの規制を支持している。
しかしピアース委員は、現行の銀行秘密法(BSA)の送金における法定開示義務に触れ、BSAが許容度が著しく異なる側面がある仮想通貨市場を規制しているのが現状と述べた。
「それが我々が選択した規制モデルだ。仮想通貨市場は、我々が受け入れてその世界で共存する限り、自主的に規制できる」
ピアース委員は、引き続き極力軽い規制を支持する一方で、SEC登録における条件には従うべきだともし、主要な仮想通貨取引プラットフォームによる取り組みをサポートする姿勢をみせた。
ピアース氏は今年2月、仮想通貨に関する明確な法的枠組みの整備においては時間がかかることについて、「明確な線を引くことが遅れることは、技術がより自由になることにつながるかもしれない」と、曖昧さが存在することは悪いことばかりではないとも指摘していた。
翻訳・編集 コインテレグラフ日本版
原文 SEC Commissioner Hester Peirce: Crypto Markets Should Self-Regulate When Possible