米証券取引委員会(SEC)は、フィギュア・マーケッツが申請した利回り付きステーブルコインを承認した。この決定により、ユーザーは保有資産に対して利息を受け取ることが可能になる。これは、急成長するステーブルコイン市場に対するSECの柔軟な姿勢を示す動きだ。
SECのウェブサイトに掲載された申請書類によると、取引所運営企業フィギュア・マーケッツは、米ドルに連動するステーブルコインYLDSの発行許可を取得した。YLDSはSECに証券として登録され、年利3.85%の利回りを提供する。
フィギュア・マーケッツのマイク・キャグニーCEOは、Fortuneの取材に対し、SECへの申請は1年以上前に提出していたと明かした。
「このステーブルコインを保有し、自己管理でき、利息を受け取れて、さらに取引にも使えるなら、そもそも銀行が必要なのか?」とキャグニー氏は語っている。
フィギュア・マーケッツは米国で初めて利回り付きステーブルコインの承認を受けた企業だが、同様の動きを見せる企業は他にも存在する。
テザー共同創設者リーブ・コリンズ氏は今年後半に利回り付きの分散型ステーブルコインを発行する計画を進めている。
コリンズ氏のプロジェクト「Piプロトコル」では、ユーザーがステーブルコインを発行する代わりに、利回り付きトークンを受け取る仕組みを導入予定である。
ステーブルコイン規制の整備
米国の規制当局は、ステーブルコイン市場の急拡大を受け、業界に適した規制の策定を優先事項としている。
S&Pグローバルのレポートによると、米国の規制当局は、準備資産の管理、透明性、従来の金融システムとの統合、管轄権の断片化など、ステーブルコインに関連する多くの問題に対応しなければならない。
欧州連合(EU)、香港、シンガポールなどは、ステーブルコインに関する包括的な規制枠組みを整備する動きを加速させている。一方で、米国はこうした国々に遅れを取る可能性が指摘されている。
ステーブルコイン(オレンジ色)の爆発的な成長 Source: S&P Global
2月5日、共和党のフレンチ・ヒル議員とブライアン・スタイル議員は、ステーブルコイン発行者向けの明確な規制ガイドラインを提供することを目的とした「STABLE法案」の草案を提出した。しかし、元商品先物取引委員会(CFTC)委員長のティモシー・マサド氏は、この法案について「初期段階としては評価できるが、いくつかの重要な点が欠けている」と指摘した。
マサッド氏は2月11日にワシントンD.C.で開催された下院小委員会の公聴会で、「STABLE法案には、トークンの全額準備金や発行者の活動制限など、支持できる要素が多く含まれているが、依然として不十分な点が多い」と語った。