先月に金融庁の長官に就任した氷見野良三氏は、ロイター通信に対して、仮想通貨トレーディング規制の緩和に慎重な姿勢を見せた。

5日付のロイター通信によると、氷見野氏は仮想通貨トレーディングを促進することで技術革新が必ずしも促進されるわけではないという見方を示した。

「ビットコインや他の仮想通貨の規制緩和は、もしそれによって単純に投機的なトレーディングが増加するのであれば、必ずしも技術革新の促進にはならないかもしれない」

また同氏は、「今日ある仮想通貨について特別な振興策を取りたいということを考えているわけではない」と述べた。

氷見野氏は、日本人初の金融安定理事会(FSB)の常設委員会議長を務めた国際派。氷見野氏は昨年9月、金融庁が開催した仮想通貨(暗号資産)の監督ラウンドテーブルでフェイスブックの仮想通貨リブラに言及。リブラの登場が「規制当局や中央銀行を目覚めさせる」と発言していた

一方同氏は、ブロックチェーン技術の促進については前向きな姿勢を見せた。

「未来の分散型金融技術がもたらす可能性もフルに花開かせつつ、さまざまな社会的、公共的な目的と両立する形で成長していくために必要なことは、できるだけサポートしていきたい」

その上で氷見野氏は、日本によるCBDC(中央銀行発行のデジタル通貨)についてメリットとデメリットの双方を真剣に検討する必要があると述べた。