ロシア最大の銀行コングロマリットであるスベルバンク(ロシア貯蓄銀行)のハーマン・グレフCEOは、世界各国の政府が、今後10年以内に非中央集権的な仮想通貨が発展するのを認めることはないだろうとコメントした。ロシアメディアのRIAノボスティが18日に報じた。

グレフCEOは、各国政府が自国の集権的な通貨を分散化する準備が整っていないと指摘。分散型デジタル通貨が大規模に採用されることはないだろうとの見通しを示した。

「仮想通貨の未来は依然として不透明だ。政府がその集権的な役割を放棄しない限り、仮想通貨を認めることはないだろう。これ〔〕が適切なモデルかもしれない。私自身は、マネーサプライを含む分散型モデルには賛成だ。しかし、それがすぐに来るとは思えない。楽観的にみても、10年はかかるのではないだろうか」

同時に、グレフ氏は仮想通貨の基盤技術であるブロックチェーンの未来についても言及。同氏はブロックチェーン技術は今後3~5年の短いスパンで採用される「準備が整っている」と語った。

「〔ブロックチェーン〕技術は今現在は準備が整っていない。ではいつ準備が整うのか。私は今後3~5年だとみている。…ブロックチェーンは巨大なポテンシャルを秘めている。ブロックチェーン技術の中にある哲学が、多くの分野で劇的な変化をもたらす可能性がある。この技術を発展させることは、ビジネスと社会の両方に大きな価値をもたらすだろう」

またグレフ氏は、仮想通貨に対する政府のアプローチについて、極端な対応は避けるように求めた。仮想通貨の禁止は、ブロックチェーンのような分散型台帳技術を開発する多くの企業にとって、害を及ぼすものだと指摘した。

グレフ氏は、ロシア南部の都市ソチ(Sochi)で開催された金融イノベーションフォーラムで、このような見解を表明。このフォーラムでは、ロシア中央銀行のエリヴィラ・ナビウリナ総裁が「仮想通貨の熱狂」は減少しているとコメントした。グレフ氏もナビウリナ総裁の仮想通貨の「誇大宣伝」は過ぎ去ったという意見に同意している。

グレフ氏の今回の発言は、同氏の過去の仮想通貨やブロックチェーンに関するコメントと一貫したものだ。

スベルバンクはブロックチェーン技術の採用を一貫して進めている。また仮想通貨分野への目配せも怠っていない。今年6月、スベルバンクとロシア大手銀行のアルファバンクは、中央銀行の規制サンドボックスを活用し、小売業者が仮想通貨で資金調達を行う実証試験を行っている。