ブロックチェーンに友好的な法律を制定する州議会が増えている中(アリゾナ州やワイオミング州、ジョージア州)、米連邦議会の議員たちは、慎重な姿勢を崩していない。

 しかし、この2月に議会はついにそれを議題にのせ、議会公聴会において証券取引委員会(SEC)のジェイ・クレイトン氏と、商品先物取引委員会(CFTC)のクリストファー・ジャンカルロ氏による仮想通貨についての証言させた。この画期的な公聴会により、規制の議論が前進しただけでなく、一部の上院議員が仮想通貨についてどう考えているかもわかった。規制への機運が高まる中、議員のブロックチェーン全般に関する立ち位置について、ここにまとめた。

ジャレド・ポリス下院議員(民主党、コロラド州選出)

 「ブロックチェーンのポテンシャルは計り知れない」

 ブロックチェーンに友好的な議員の代表格であるポリス下院議員は、議会のブロックチェーン部会を作る際、重要な役割を果たした。この部会は、超党派のグループで、ブロックチェーン技術の拡大と、非干渉型の規制導入を目指している。彼の発議には、600ドル以下の仮想通貨購入を全て非課税とする法案や、政府にその仮想通貨資産の開示を求める議案などがある。

 将来の展望:ポリスは今年中に議会を去るかもしれない。彼は昨年年6月、コロラド州知事へ名乗りをあげ、その直後の世論調査で一位を獲得した

デビッド・シュウェイカー下院議員(共和党、アリゾナ州選出)

 「これは革命的だ。ただ小銭をやり取りしているだけではない」

 アリゾナのシュウェイカー共和党議員は、ポリス議員ともっとも近い同盟者で、ブロックチェーンの擁護者である。彼は議会ブロックチェーン部会の共同議長を務め、分散型台帳アプリケーションの利用拡大と、その促進を目的とした複数の法案を共同提案している。注目すべき彼の発議の一つに、退役軍人省に対してブロックチェーンシステムを使って、退役軍人の病院予約を追跡することを提案する、というものがある。115回議会で、シュウェイカー議員は下院歳入委員会の一員となった。

 将来の展望:シュウェイカー議員は、今年11月の選挙での再選を目指している。専門家によると、この選挙区での共和党議員選出は固いという。いくつかの情報によると、彼は22年アリゾナ州知事選への出馬を考えているとのことだ。

トム・エマー下院議員(共和党、ミネソタ州選出)

 「アメリカはこの技術革新の本拠地であるべきだし、この新しい技術を受け入れるべきだ。その成功のためには、私たちが規制に対して計画的で、柔軟で、一致したアプローチを採用することが必須である」

 トム・エマー議員は議会ブロックチェーン部会の一員である。上記の引用は、彼とポリス議員、そしてシュウェイカー議員による連盟の陳情で、証券取引委員会(SEC)と商品先物取引委員会(CFTC)の委員長に向けて送られた。この陳情書は、連邦政府機関が、仮想通貨とブロックチェーン技術のための、簡単で細かく調整された規制を採用し、彼らが成長できるようにすることを奨励している。 エマー議員は、米国下院金融委員会の一員である。

 将来の展望:エマー議員は11月の選挙で再選を目指す。選挙区は共和党議員選出が予想されている。

マーク・ワーナー上院議員(民主党、ヴァージン諸島選出)

 「1980年代、私は携帯電話に早いうちから投資していた。おそらくブロックチェーン技術は携帯電話と同じくらい革新的だろう。私たちの政府が暗号技術に目を向けている中で、仮想通貨からその技術的基盤を切り離すことはできないだろう」

 ワーナー上院議員は、2月の画期的な公聴会で、20年には仮想通貨・ブロックチェーン関連の市場規模が20兆ドルを超えると予測し、一躍仮想通貨支持者としての名を上げた。彼は成功したハイテク起業家でバージニア州知事も務め、ブロックチェーンの輝かしい未来を固く信じているようである。しかし、ワーナー上院議員はまた、業界が急速に成長する中にあって、本格的な規制整備の必要性を見越し、それについて憂いている一人だ。ワーナー上院議員の所属委員会は次の通りである:情報特別委員会、銀行・住宅・都市委員会、予算委員会、財政委員会、議事運営委員会。

 将来の展望:ワーナー上院議員の任期は21年までだ。彼の在任中に20兆ドル予言が実現するのを見ることができるかもしれない。

ジョン・ケネディ上院議員(共和党、ルイジアナ州選出)

 「情報開示をビットコインにまで拡大することができるかもしれないが、それだけでは何かしたことにはならない。ディスクロージャーは弁護士以外の人間にも理解でき、彼らを助ける仕方で行われなければならない」

 このルイジアナ州選出の共和党議員は、証券法によって課せられた情報開示がビットコインで上手くいくかどうか懐疑的である。これは彼の仮想通貨に対する全体的な立場をはっきりさせるものではないが、より大きな安全性か利便性かという議論の中で、ケネディ上院議員が利便性の方へ傾いていることを示唆しているのかもしれない。前ルイジアナ州財務長官のケネディ上院議員は次の委員会に属している:歳出委員会、銀行・住宅・都市委員会、予算委員会、司法委員会、中小企業・企業家委員会。

 将来の見立て:17年に現職に就いたケネディ上院議員は、23年まで任期がある。

デイブ・ブラット下院議員(共和党、ヴァージン諸島選出)

 「私は完全なる自由市場主義者だ。だから規制には反対だ。… しかし、もしそれが経済全体を不安定化させるならば、規制について話さなければならない」

 連邦議会議員の全てのコメントにおいて、一貫している一つのパターンは、強硬路線の自由市場主義の共和党議員でさえ規制の意欲があるということである。リップサービスなのか、考え抜かれたバランスの取れた発言なのか、連邦議会の誰一人として仮想通貨に対して自由放任主義的アプローチを唱える者はいない。ブラット下院議員の所属委員会は:予算委員会、教育労働委員会、中小企業委員会。

 将来の見立て:ブラット下院議員は、18年11月に共和党優勢の選挙区からの再選を目指す。

ビル・ハイゼンガー下院議員(共和党、ミシガン州選出)

 「この件に関しては、SECが適切なリードをとっている」

 ハイゼンガー議員は、米下院金融サービス小委員会資本市場部門の議長を務めている。彼は、ここ数ヶ月の仮想通貨マーケットの爆発的な成長に直面し、SECにこの種の資産に関する幅広い規制権限を受け渡す用意があるようだ。

 将来の展望:ハイゼンガー議員は、18年11月共和党員の選出が予想される選挙区での再選を目指している。

ダナ・ローラバッカー下院議員(共和党、カリフォルニア州選出)

 「デジタル通貨を取り扱う業者に完全な反マネーロンダリング規制と顧客確認規則を受け入れるようにさせるべきだ。これらの保護によって、テロリストの資金調達を監視することや、デジタル通貨使用の自由を守ること、そしてアメリカを技術革新の先頭に留めるために、法執行機関と国家安全保障の専門家たちの権限を強めるべきである」

 ローラバッカー下院議員は、18年の国防権限法についての話から、仮想通貨全般についての異議に話を逸らしていった。彼は、権威主義的国家を経済的に支援し得ることを懸念している。しかし、彼はより厳しい反マネーロンダリング規制と、国防のために個人識別を厳格化するべきだと述べている。所属委員会:科学・宇宙・技術小委員会、外交委員会 。

 将来の展望:彼は今年の再選選挙で、民主党からの激しい抵抗に直面する。結果は予想がつかない。

ロー・カンナ下院議員(民主党、カリフォルニア州選出)

 「(もっと規制が必要である)詐欺に対してであろうと、環境破壊に対してであろうと、テロを助長するためのビットコインの使用に対してであろうと」

 カリフォルニア州選出のカンナ民主党議員は、仮想通貨の厳しい規制に賛成していることで知られている。投機的取引や詐欺的な金融スキーム、そしてテロの資金源となることなど、よくある懸念に加え、彼は仮想通貨が引き起こす環境破壊リスクの低減という問題も提起した。彼が強化しようとしている規制の1つにマイニングへの課税があげられる。所属委員会:軍事委員会、予算委員会。

 将来の展望:今年11月に、民主党選挙区の予備選で再選を目指す。

エマニュエル・クリーバー下院議員(民主党、ミズーリ州選出)

 「彼らが提供するビットコインサービスが、アメリカ人に対する虐待、嫌がらせや暴力などの過激なキャンペーンを促進するために利用されていないことを確実にするために、メンバーがどのような措置を講じるのかを知りたい」

 クリーバー下院議員の一番の懸念は、一般的な金融機関からの援助を断られた白人至上主義者や、他の過激なグループが仮想通貨を資金源とし得るということである。規制整備を進める代わりに、彼はビットコイン基金やデジタル商工会議所など、仮想通貨コミュニティーに対し影響力を持つグループに働きかけている。所属委員会:金融委員会。

 将来の展望:クリーバー下院議員は今年11月の再選を目指す。選挙区は民主党地盤。

ロジャー・ウィリアムズ下院議員(共和党、テキサス州選出)

 「私たちが他の金融機関に課している重要な反マネーロンダリング、顧客確認の規制を、世界全てのデジタル通貨は実質的に尊重していない。デジタル通貨の世界にいる幾らかの人々は、デジタル金融がこれらの基準の緩和を要求しているという。それは絶対に間違っている」

 前テキサス州務長官であるウィリアムズ下院議員は、仮想通貨を他の法定通貨と同じ規制の元で運営することを強く支持している。所属委員会:金融委員会

 将来の展望:ウィリアムズ下院議員は今年11月、共和党地盤の選挙区で再選を目指している。

キャロライン・マローニー下院議員(民主党、ニューヨーク州選出)

 「仮想通貨には何の保証もないことを、多くの人々は気づいていない」

 仮想通貨を巡る議論の中で、「あなたのビットコインには、何の保証もないのだ」という題目を掲げる人物が誰もいないのなら、それは驚くべきことだ。投機的な仮想通貨取引の反動を懸念しマローニー下院議員は、SECに代わってより厳しい監視を求めている。所属委員会:金融委員会;監査政府改革委員会。

 将来の展望:マローニー下院議員は今年11月、民主党地盤の選挙区で再選を目指している。