リップル社はフォートレス・トラスト(Fortress Trust)の取得を目指していたが、発表から20日後にその計画を撤回すると発表した。これにより、米国でのライセンスを拡大するための試みが打ち切られた形となる。
リップルのブラッド・ガーリングハウスCEOは、9月28日にX(旧Twitter)で、「私たちはフォートレス・トラストを買収することを進めるという決定を変更した」と述べた。しかし、リップルはフォートレス・トラストの親会社であるフォートレス・ブロックチェーン・テクノロジーズの株主としての立場を維持する。
リップルは9月8日に買収を初めて発表し、このニュースには企業内部の関係者も驚いたと、コインテレグラフが伝えた。その際、リップルは他のフォートレスのグループ企業、特に関連会社のFortressPayに投資する計画を明らかにしていた。
数日後、フォートレス・トラストはサードパーティの分析ベンダーに関連したセキュリティの問題によって、この買収が急がされたと主張。フォーチュン誌のインタビューで、フォートレスのCEO、スコット・パーセル氏は、セキュリティの問題により1200万から1500万ドルの損失が発生し、その大部分がビットコイン(BTC)で、小額のUSDコイン(USDC)とテザー(USDT)も含まれていたと述べた。2022年のシードラウンドからフォートレスに投資をしていたリップルは、顧客の損失を埋め合わせるために介入せざるを得なかった。
A few weeks ago, we signed a letter of intent to acquire Fortress Trust – we’ve since made the decision not to move forward with an outright acquisition, though Ripple will remain an investor in @Fortress_io.
— Brad Garlinghouse (@bgarlinghouse) September 28, 2023
コインテレグラフへのコメントで、パーセル氏は、この合併のキャンセルは「大きな問題ではない」と述べている。彼によると、計画の変更はセキュリティ問題とは関係なく、「フォートレスの投資家であり、素晴らしいパートナーである。その点で変わることは何もない」と彼は指摘している。
リップルが米証券取引委員会との法的な闘争を続ける中で、この取引の失敗はフォートレスに関連する他の企業に利益をもたらす可能性がある。例えば、スワン・ビットコインはビットゴーとの合弁事業を進めており、米国内でビットコイン専用の信託会社を設立することを目指している。この計画は現在、規制当局の承認を待っている。