著者 松田康生(まつだやすお)楽天ウォレットシニアアナリスト
東京大学経済学部で国際通貨体制を専攻。三菱UFJ銀行・ドイツ銀行グループで為替・債券のセールス・トレーディング業務に従事。2018年より暗号資産交換業者で暗号資産市場の分析・予想に従事、2021年のピーク800万円、年末500万円と予想、ほぼ的中させる。2022年1月より現職。
ポイント
・概ね43,000ドル台でのもみ合い
・ドル円が147円台⇒141円台⇒144円台と乱高下、円建て価格が振らされる
・ロイターのETF協議進展報道への反応は限定的
・雇用統計でドル建てBTCとドル円が反対方向に反応すれば、円建て価格は安定しそう
昨日のBTC相場
昨日のBTC相場は、上値の重い展開。
ドル建てで見ると44,000ドル(約635万円)で上値を重くすると、一時43,000ドル(約620万円)を割り込んだが、概ね43,000ドル台での取引が続いた。一方で、ドル円が147円台から141円台に急落、144円台に反発するという荒っぽい値動きを見せる中、円建て価格は大きく影響を受けた。
BTCは週明けに40,000ドル台に乗せると水曜日にかけて44,000ドル台まで急伸、その後はアルトコインに物色買いが入る中、BTCの上昇は一服していた。
日本時間木曜日未明の米公聴会でJPモルガンのダイモンCEOがもし自分が政府ならば暗号資産を閉鎖させると厳しく非難、相場の重石となると、午後に入りアルトコインが下落に転じたことでBTCも44,000ドル近辺のもみ合い圏から失速、一時43,000ドルを割り込んだ。
朝方の国会答弁で日銀の植田総裁が年末から来年にかけて一段とチャレンジングになるとしたことがYCC緩和の示唆と捉えられ日本の長期国債金利が急上昇、これを受けてドル円が147円近辺から144円台半ばに急落したことで円建て価格が下落、円建てのBTCポジションの損切を誘発した影響も若干あったか。
するとロイターが現物ETF審査に関する協議が重要な進展を見せたと報じ、またETHが大きく上昇、BTCは44,000ドル近辺まで反発した。しかし、ドル円が一時141円台まで急落する中、円建て価格はむしろ下落した。
その後、ドル円は144円台に反発したが、エリザベス・ウォーレン議員がCNBCで「暗号資産がテロや麻薬取引、北朝鮮の核開発の半分に利用されており、これ(that)を続けることは許せない」と厳しく批判した動画が広がったこともありBTCは43,000ドル台前半に値を落としている。