著者 松田康生(まつだやすお)楽天ウォレットシニアアナリスト
東京大学経済学部で国際通貨体制を専攻。三菱UFJ銀行・ドイツ銀行グループで為替・債券のセールス・トレーディング業務に従事。2018年より暗号資産交換業者で暗号資産市場の分析・予想に従事、2021年のピーク800万円、年末500万円と予想、ほぼ的中させる。2022年1月より現職。
ポイント
・26,000ドル後半で小動き
・CPIはやや強め、コアの前月比が同じ0.3%でも0.279%から0.323%に加速
・米10年債金利が急反発しリスクオフ
・11月利上げ見送り観測は殆ど影響受けず
昨日のBTC相場
昨日のBTC相場はもみ合い推移。
26,000ドル(約385万円)台後半の狭いレンジでの取引に終始した。
BTCは先週末に28,000ドル台に乗せたが、今週に入り反落すると、26,000ドル台半ば迄値を下げていった。
下落の要因はイスラエルとハマスとの戦闘激化。「戦争」といった究極のリスクイベントでは投資家がリスクを縮小しようとするので、ボラテリティの高いBTCは真っ先に売られやすい。
バイナンスがハマスの暗号資産口座を凍結したことを受け、ハマスの戦費調達に暗号資産が利用されていたとWSJが報じたことなどもあり、昨日未明には26,000ドル台半ばまで値を下げた。
一方でPPIは強かったがFRBのウォーラー理事の発言やFOMC議事録を受け11月利上げ見送りの織り込みが9割に達したことやキャシー・ウッド氏が率いるアーク・インベストメントのETF申請が修正・再提出されたことは承認に向けた明るい兆しだとブルームバーグのETFアナリストが指摘したことなどもあり、BTCはやや値を戻した。
注目のCPIはヘッドラインが前年比3.7%、前月比0.4%と予想(3.6%、0.3%)より若干上回り、特にコアの前月比が0.279%から0.323%に加速した。
それでも11月利上げの織り込みは殆ど変わらず、12月以降の利上げ見通しが若干上昇、米2年債金利は10bp近く上昇した。
それ以上に米10年債金利が20bp近く急反発、米株が反落するなどリスクオフの流れとなる中、BTCは26,000ドル台半ばに値を落とした。
その後、米長期金利の上昇が一服、米株が切り返す中、BTCも若干値を戻している。