ビットコイン(BTC)は5月23日の米ウォール街での取引開始と同時にフラッシュ・ボラティリティに見舞われ、短期的にロングポジションが大量に清算された。
トランプ氏が「EUとの交渉は失敗」と発言
TradingViewのデータによると、BTC/USDはビットスタンプで10万7367ドルまで下落。その後反発したものの、日中で最大4%の下落幅を記録した。
この値動きは、トランプ米大統領が欧州連合(EU)に対する関税について「交渉はどこにも進んでいない!」とトゥルースソーシャルに投稿し、「2025年6月1日からEUに対し一律50%の関税を勧告する」と表明したことを受けたものである。
米株式市場もこれに即座に反応し、執筆時点でS&P500は1%、ナスダック総合指数は1.2%下落している。
暗号資産トレーダーのSkew氏はXへの投稿で、「見事なまでにロングレバレッジと現物のリスク回避売りのラッシュとなった。またしてもヘッドラインが引き金となった」とコメント。
CoinGlassによると、トランプ氏の発言後の4時間で約3億5000万ドルの清算となった。
トレーダーのDaan Crypto Trades氏も、「トランプ氏による発言が圧縮された価格帯を突き破った。世界の市場はこのニュースを歓迎していない」と指摘し、「貿易の不確実性が戻った今、ビットコインが株式と比較してどのように動くかが今後の焦点」とした。
マクロ経済の見通しについて、マーケット分析レターのコベイシレターは次のように指摘した。
「これまでに学んだのは、関税圧力が強すぎればベーシストレードが解消され、弱すぎればインフレ期待が高まるということだ。今、トランプ大統領は、関税を維持しつつ金利を抑えるという微妙な均衡点を見つけねばならない」。
さらに、インフレ低下にもかかわらず米連邦準備制度理事会(FRB)が利下げを急がない姿勢を強調しており、それがリスク資産の上値を重くする要因と分析している。
一部のトレーダーは、今後守るべき重要な価格帯に注目している。Crypto Caesar氏は、「緑のゾーンを死守する必要がある」と語り、11万ドルをやや下回る水準のチャートを提示した。
また、Poseidon氏は現状の価格帯の上に大きなレジスタンスがないことから、反発余地がまだあると見ている。
Don’t forget: above here, it’s nothing but thin air. No resistance in sight.$BTC pic.twitter.com/ugQEGQIcpD
— Poseidon (@CryptoPoseidonn) May 23, 2025
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