トークンを標準化することで何が生まれるのか?トークン分類フレームワークについて専門家に聞く【解説】

今月4日にトークン構築に関する標準化仕様「トークン分類フレームワーク(TTF)V1.0」が発表された。トークンの実装方法に関わらず、任意のトークンがどのようなものなのかが誰でも理解できるように定義や用語を定めたものだ。

【関連記事:トークン分類に関する標準化仕様発表、マイクロソフトやインテル、JPモルガン、R3など参加

TTFを定めたトークン・タクソノミー・イニシアティブ(TTI)にはIBMやアクセンチュア、コンセンシス、R3、JPモルガンなど幅広い企業が参加している。

「誰でも理解できる」と言えば簡単だが、実際にはどのような影響があるのだろうか。『ブロックチェーンの仕組みと開発がしっかりわかる教科書』などの著書があるコンセンサス・ベイスの志茂博氏に解説してもらった。

3つの重要点

コインテレグラフ:先日「トークン分類フレームワーク」を発表したトークン・タクソノミー・イニシアティブ(TTI)の重要性をどう捉えるか?

志茂氏:TTI(トークン・タクソノミー・イニシアティブ)の重要な点は、主に3つある。1つ目は、個別ブロックチェーンのプラットフォームに依存しないトークンの標準規格の策定が可能になること。2つ目は、共通規格化によるネットワーク効果の向上。3つ目は、共通言語化によるビジネスパーソン、技術者、規制当局の間のよりスムーズな対話だ。

1つ目の利点として、個別のブロックチェーンのプラットフォームに依存しないトークンを利用するサービスを作る際に、個別のブロックチェーン上のバラバラの規格に個別に対応する必要がなくなり、標準の規格を一つの団体で策定するだけで良くなる点だ。

2つ目の利点としては、ネットワーク効果によるトークンの経済圏の拡大を目指すことができる点だ。ブロックチェーンのトークンが、それぞれの経済圏の中で閉じてしまうと、社会的なインパクトは大きくなりにくい。そのため、各ブロックチェーンに対応する標準規格を作ることで、将来的にブロックチェーン基盤同士でのトークンの連携を目指すことができる。

3つ目の利点は、標準化による共通言語化でマルチステークホルダー間の認識合わせができ、摩擦を軽減できることだ。

フェイスブックが主導するリブラのように1団体のみで先行する場合、規制当局との対話が十分でないと、大きな摩擦が生じる。

しかしTTIには、MicrosoftやR3、コンセンシスなどのブロックチェーン企業だけではなく、FINRA(全米証券業協会)も加入している。ビジネス、技術、規制当局が一体となって標準化を行っていくことで、法的位置づけも踏まえた、より現実解としての標準化が見込まれる

TTFの共通の定義の利点は?

コインテレグラフ:TTFはユースケースや債券、定義など様々な共通の仕様を作ったものだ。この共通の定義を作ることはどういう利点があるのか。

志茂氏:TTFの共通の定義には共通化された概念とプラットフォームに依存しないトークンの共通仕様がある。それにより、以下の4つの利点がある。

  1. TTFの標準仕様に沿うことで様々なブロックチェーン・プラットフォームで共通のトークンを発行できる
  2. ビジネスユーザーがプログラムに触れることなく、画面で選択していくだけでクロスプラットフォームなトークンを作成できる
  3. 企業は、標準規格に沿った個別ブロックチェーン用のトークン作成ができるサービスを作ることができる
  4. マルチステークホルダーが、トークンに対して共通言語を持つことで同じ認識を持ちながら規制などについて議論ができる

実際の活用状況について

コインテレグラフ:実際にどのような利用・活用状況が想定されるのか

志茂氏:TTFに準拠したサービスとして、Azure Blockchain Tokens(ABT)が発表された。ABTは、TTF標準に基づいて準拠トークンを定義、作成、管理することが簡単にできる。

つまり、コードに詳しくないビジネスパーソンが、トークンの形式などをクリックしていくと、自動的にトークンを生成できるようになったり、相互運用によりトークンは別のブロックチェーンシステムでも利用することができるようになることが期待される。

今後の展開についてはロードマップが公開されていないため、今後の詳細は不明だ。今回公開されたTTFは、バージョンが1.0で、今後もEEA(Enterprise Ethereum Alliance)が監督する形で、マイクロソフト社のマーレー・グレイ氏が中心になって策定されていくと予想される。