破綻したカナダの仮想通貨(暗号資産)取引所クアドリガCXの管財人である大手会計事務所アーンスト&ヤング(EY)は1億7100万ドル相当の請求を受けているが、請求者に分配する資金が2980万ドルしか準備ができていないと明らかにした。
カナダのオンタリオ州高等裁判所に提出された書類によると、EYはクアドリガCXに資金を預けていた顧客から17053件の請求を受けていることも明かした。
この請求には約9020万ドル分のカナダドルの他に、24427BTC、65457ETH、87031LTC、7723BCH、17934BTG,7098BSVなど、総額で600万ドル(約6億2000万円)以上の仮想通貨が含まれている。
クアドリガCXを巡っては、創業者兼CEOを務めるジェラルド・コットン氏がインドで急死し、同氏しか取引所のコールドウォレットの秘密鍵を持っていなかったため、76000人ものユーザーが仮想通貨にアクセスできない状況となった。EYはこの秘密鍵の紛失が資産と負債の不一致の原因だとしている。
「コットン氏が実物資産を預けていたユーザーの口座を取引していた。そのため、クアドリガCXの資産は影響を受けたユーザーに支払うべき負債と一致しない」
コットン氏が死亡したとされるのが2018年12月。しかしクアドリガCXはその数ヶ月前から支払いの問題が起きていた。その後の調査で資金の多くが、悪名高い決済サービス企業クリプト・キャピタルに流れていたことが明らかになっている。
EYはこれまでに、コッテン氏の遺産から資産を売却し、コッテン氏の妻と和解し、取引所が使用していた決済会社から資金を回収することで、2980万ドルを回収した。
EYは回収したすべての資産をカナダドルに変換。クアドリガCXを破産申請をした2019年4月15、もしくはユーザーのアクセスが制限された2019年2月5日のいずれかの仮想通貨価格に基づいて返済を進めると裁判所に申請している。
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン