米国やイスラエルの研究者らが18日にまとめたリポートによれば、仮想通貨マーケットでは風説の流布(Pump&dump)が横行しているという。メッセージアプリの「テレグラム」やチャットサービスの「Discord」といったプラットフォームを通じて、300以上の仮想通貨で風説の流布が行われていたとしている。

研究者たちは2018年1月中旬から7月初旬までの約半年間を対象に、テレグラムやDiscordのデータを抽出。テレグラムでは3767件、Discordでは1051件の風説の流布と見られるやり取りが見つかった。こういったやり取りの後に価格が上昇した通貨は300以上に上った。

レポートによれば、時価総額が低い銘柄ほど、風説の流布によって価格が上昇する幅が大きいと指摘する。時価総額上位75位内の仮想通貨は3.5~4.8%だったのに対して、時価総額500位以下の仮想通貨の場合、19~23%上昇したという。

研究者らは「今回の包括的なデータは仮想通貨での風説の流布の実態を提供し、またこのような現象が幅広く行われていることを示すものだ」とし、規制当局側が価格操作の懸念を高めることになるはずだと述べている。

仮想通貨での風説の流布については、MITテクノロジーレビューが4日に掲載したレポートでも指摘されている。ロンドン・インペリアル・カレッジの研究者らが、機械学習を活用して調査を行った。レポートによれば、1日平均2回の風説の流布があり、月間700万ドル相当の取引高を生んでいるとしている。

またウォールストリートジャーナルは8月、121の異なる仮想通貨で175件の風説の流布のスキームを見つけたと報じた。組織化されたトレーディング集団がこういった手法を使い、2018年上半期だけでも8億2500万ドルの収益を得ていたと指摘した。