仮想通貨の相場操縦が、組織化された「トレーディング集団」によって大規模に行われているのではないか。ウォールストリートジャーナル(WSJ)が5日に公開した調査で、そのように主張している。
WSJは仮想通貨市場についての調査を行い、様々な仮想通貨の価格を吊り上げて売りたたく、いわゆる「パンプ&ダンプ」(「風説の流布」)の手法がみられたと報告している。
この方法で複数のグループが数億ドルもの利益を得た一方で、吊り上げられた仮想通貨が売り叩かれたことで他の人々は損失を被ったことになる。
WSJによれば、2018年上半期だけで、こういうったグループは8億2500万ドルの収益を得たという。
WSJは121の異なる仮想通貨で175の「パンプ&ダンプ」のスキームを見つけた。WSJは「このようなグループが複数存在し、潜在的に何百万人、何千万人もその活動に加わっている」と指摘し、こういうった活動が「招待によってアクセス可能なプライベートなチャットルームで行われ、匿名のモデレーターによって管理されている」と述べている。
このようなトレーディング集団の例として、WSJはクロークコイン(Cloakcoin)を取り上げている。このアルトコインは今年に入って、価格が何度も吊り上げられている。
7月のはじめ、このコインは主要な取引所であるバイナンスで突然上昇した。これは「ビッグ・パンプ・シグナル(Big Pump Signal)」というトレーディング集団によるものだと、WSJは説明している。
「クロークコインの価格がバイナンスで急騰した。ビッグ・パンプ・シグナルが、フォロワーに買いを入れるようにテレグラムにメッセージを送った直後のことだ」と、WSJは書いている。
「バイナンスでビットコインとのペアで最も取引されている上位10銘柄の価格は、クロークコインが急騰している間、ほとんど動かなかった」
今回のWSJの調査は、最近数か月にわたって仮想通貨市場を取り巻いている相場操縦の疑惑に、新たな話題を提供するものだ。
ビットコインについては、昨年12月以降、価格が操作されているのではないかと噂がささやかれ続けている。5月には、米司法省がBTC価格が「見せ玉」や「馴合売買」といった不正行為で操作されている可能性について調査に着手したと報じられた。
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