米国の元大統領候補、アンドリュー・ヤン氏は16日、テキサス州フォートワースで開催された北米ブロックチェーンサミット(NABS)で、米国におけるブロックチェーンやWeb3技術の活用状況や、AI(人工知能)の規制について、警鐘を鳴らした。

ヤン氏は、「スマートマネーやスマート通貨の信者」と自称し、特に米国におけるブロックチェーンとWeb3技術の現状を憂慮しているという。この状況は企業が海外に逃避するリスクを生み出しており一般の認知度の低さが問題の一部であるとヤン氏は指摘する。

「この運命を避ける方法は、ブロックチェーンを使って米国民の問題解決に役立つポジティブな使用例を示すことだ。しかし残念ながら、ニュースで見るのはサム・バンクマン=フリードとFTXだけだ」

ヤン氏は、ブロックチェーン技術は貧困撲滅など、さまざまな社会問題の解決に活用できる可能性があると主張した。また、携帯電話で投票できるようにするなど、ブロックチェーン技術を市民生活に活用するアイデアも提案した。

また、ヤン氏はAIの規制についても懸念を表明した。米国のAI政策は「十分でなく、場合によっては一貫性がない」と指摘し、2,600人の技術リーダーや研究者とともに、GPT-4より強力なAIシステムの開発を停止するよう求める公開書簡に署名した。NABSでも「これらの生成モデルの開発に先走っているのではないか」と警鐘を鳴らした。

Andrew Yang at NABS on Nov. 16. Source: Turner Wright, Cointelegraph

AIは政治と密接に関連しているとヤン氏は述べ、その理由はキャンペーンや公共生活に及ぼす影響にある。ヤン氏は以下の例を挙げて指摘した。

「ペンタゴンが火事になっているディープフェイクに市場は反応してしまった」

ヤン氏は米国の規制アプローチについて、「問題が発生してから審議を行う」と批判し、そのような「勝者総取り」の経済環境が問題の一部であると指摘した。この状況では、技術進歩の恩恵が非常に不均等に分配され、米国の政治生活における既存の分裂を悪化させると主張した。

ヤン氏は、米国のソーシャルメディア規制についても、1996年に制定された通信品位法の第230条が、Facebookなどの巨大IT企業の台頭を許したと批判した。欧州連合ではAIに関する法整備が進んでいるが、米国では議会が機能していないため、米国は後れを取っていると警鐘を鳴らした。