ブロックチェーン分析会社チェイナリシスのデータによると、ロシアがウクライナに軍事侵攻した2月24日以降、54の在ウクライナの親ロシア派グループに対し200万ドル以上の仮想通貨が送金されているものの、その額はウクライナ政府の管理下にあるウォレット宛に送金された金額のほんの数%にとどまっている。

チェイナリシスは29日のブログ投稿で、2月のウクライナ侵攻以降、ウクライナの親ロシア派グループが管理するソーシャルメディア・アカウントに送金された資金をビットコイン (BTC)、イーサ (ETH)、ライトコイン (LTC)、USDT-TRX、ドージコイン (DOGE) について追跡したところ、約220万ドルが親ロシア派グループに送金され、100万ドル以上が1つの匿名アカウントに送金されていたと述べた。

チェイナリシスが把握している以外にも、親ロシア派勢力の支援グループが存在する可能性はあるものの、入手したデータによれば、親ロシア派への220万ドルの寄付は、ウクライナ支援のために送金された仮想通貨の約4%に相当することを示唆しており、また仮想通貨による寄付を受付けているウクライナ政府のデジタル・トランスフォーメーション省後援のプラットフォームである「Aid for Ukraine」には、3月の立ち上げ以来、4500万ドルを上回る寄付がこれまで送金されている。また、「ウクライナ緊急支援基金」を介して寄付を呼びかけている仮想通貨取引所バイナンスは、2月以降、1,000万ドル以上の寄付金が寄せらていると報告している

侵攻が始まって以来、ロシアとウクライナの双方に多大な損失と死傷者が生じている中、Aid for Ukraineは、受領した仮想通貨をウクライナ軍の支援や人道支援プロジェクトのために使用すると報告している一方で、親ロシア派グループに送金された 220万ドルは、主に軍事装備とプロパガンダ用のサイト運営資金として利用される可能性があるという。

「親ロシア派グループへの220万ドル相当の仮想通貨による寄付金は多額ではあるものの、ウクライナへの数千万ドル相当の仮想通貨による寄付金と比較すると、やはり見劣りする」とチェイナリシスは述べている。

また、親ロシア派グループに送金された仮想通貨の約半分が、特に米国財務省外国資産管理室(OFAC)による制裁対象地域となっているウクライナのドンバス地方のドネツク州とルハンスク州の軍事支援のために利用される可能性があるという。

さらにチェイナリシスによれば、OFACの制裁対象となる特別指定国民・資格停止者リスト(SDNリスト)に掲載されているロシア国籍の アレクサンダー・ジュコフスキー 氏がソーシャルメディア・チャネルを利用し、Terriconプロジェクトの宣伝をしていた。このプロジェクトは、ドンバス地域の軍隊への仮想通貨による寄付や、NFT(非代替性トークン) アート作品の不正販売を介してロシアの軍事侵攻を支援しているという。