中国人民銀行のデジタル通貨研究所が利用者が自身の取引履歴を追跡できるようにするデジタルウォレットに関する新たな特許を出願した。この特許申請は6月22日、中国の国家知識産権局(SIPO)に提出された。

 この新たな特許では、中央集権のデジタル通貨発行登録機関と連携して取引データを追跡するために、提案されているデジタルウォレットがどのように使えるのかについての概要が説明されている。このウォレットはマルチシグのセキュリティを有効にし、既存の仮想通貨のように秘密鍵で暗号化されたデジタル資産を管理する。

 取引照会の結果には、デジタル通貨の種類、金額、元通貨、送付元と送付先のウォレットの識別情報が含まれる。

 今週のこの新たな特許は、中国の中央銀行が遂行しているブロックチェーン統合に向けた長期的ビジョンの一部だ。中国政府はビットコイン(BTC)といった非中央集権の仮想通貨には強硬な姿勢を取り続けているが、人民銀行は既存の金融システムにそれらの基礎となっている技術を利用する利点を広範囲にわたって調査している。

 人民銀行の周小川・前総裁は、デジタル通貨は最終的に現金の流通を減らすだろうしそれは「技術的に避けられない」と意見を述べつつ、ブロックチェーンの活用による「予想不可能な影響」を制御するという人民銀行の役割を強調していた

 人民銀行のデジタル通貨研究所の姚前所長は4月に、同じく慎重で肯定的な意見記事を中国メディアに寄稿し、ブロックチェーンの多くの潜在的な利点を主張しつつも、一定の状況下でその非中央集権性を抑える必要性について論じた。

 また人民銀行は今月、ブロックチェーンを用いた新たなシステムを公開した。このシステムは小切手のトークン化のために設計されたスマートコントラクト機能を備えている。

 人民銀行以外でも、中国は全体として17年に他のどの国よりも多くのブロックチェーン技術関連特許を世界知的所有権機関(WIPO)へ出願したと報じられている