フィリピンでは、仮想通貨を一般市民にまで普及させる手段として店頭取引(OTC)取引所が注目されている。一方、UAEではOTCプロバイダーが仮想通貨エコシステムに対する長期的な影響に焦点を当てている。
東南アジアの新興仮想通貨ハブであるフィリピンでは、物理的なOTC取引デスクが仮想通貨取引に「あまり慣れていない」人々に対応している。ライセンスを持つ仮想資産サービスプロバイダー(VASP)マネービーズのジェイ・リッキー・ビラランテCEOは、OTCプラットフォームの分かりやすさが、仮想通貨取引をより多くの人々にアクセスしやすくすると話す。ビラランテ氏は、技術に精通していない人々も仮想通貨取引に参加できるようになるかもしれないと言う。

ビラランテ氏によれば、フィリピンでの顧客の動向をみると、対面OTC取引がフィリピン人に魅力的であるという。彼らは「依然として金融取引を重視している」という。顧客側は「リアルな人間」が取引を対応してくれるのを見ると、より自信を持つとビラランテ氏は指摘する。
また、OTCハブが法定通貨と仮想通貨の間を橋渡しする簡単で便利な方法を提供するとビラランテ氏は強調した。同氏は、これにより初心者が法定通貨と仮想通貨を簡単に切り替えることができると話す。

ビラランテ氏は、物理的な場所を持つことで仮想通貨が正常化され、間接的にメインストリームでの採用に影響を与えると指摘した。同氏は、モールやリゾート、カジノなどのレジャー施設内に位置していることで、仮想通貨を一般市民の目に触れさせることができると説明した。
一方、ドバイに拠点を置くOTCプラットフォームクリプトデスクのアミンホセイン・ラドCEOは、OTC取引がメインストリームでの採用に与える短期的および長期的な影響には違いがあると考えている。ラド氏は、OTCデスクが広範な仮想通貨エコシステムに与える短期的な影響は「一般的に無視できるものだ」と述べる。
ラド氏は、バイナンス、OKX、バイビットなどの国際的なオンライン取引所が、世界中の日々の取引高の約95%を取り扱っていると説明した。「仮想通貨と法定通貨の交換を含むOTCなどは、オンランピングやオフランピングのための橋渡しとして使用されることが多く、世界の日々の取引量のごく一部を占める」という。
しかしラド氏は長期的には、仮想通貨の規制がより強化されるようになると、OTCデスクは仮想通貨の採用により大きな影響を与えるだろうと考えている。同氏は、ドバイのリーダーシップの下、OTC取引所がUAEをグローバルなWeb3ハブとしての地位を維持するのに役立つことができると信じている。
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン