分散型ストレージネットワークプロジェクトのファイルコイン(Filecoin、FIL)が中国を中心に急速に注目されている。1日には中国系仮想通貨取引所であるフォビ(Huobi)やOKEx、ゲート(Gate)で最も多く取引された仮想通貨となった。

1日午後にはFILの取引量はフォビでビットコインの3倍以上となり、価格は7日間で170%以上上昇した。

ファイルコインは、Fenbushi CapitalやSNZ Capital、Neo's EcoFundなどの大手ベンチャーキャピタルを含む、中国の投資家の注目を集めている。この3社は、3月25日に発表された2300万ドルの「ファイルコイン・エコシステム・ファンド(Filecoin Ecosystem Fund)」をリードした。ファイルコイン・エコシステム・ファンドは、ファイルコインネットワーク上のプロジェクトを支援し、開発を助けることを目的としている。また支援者は、新しいプロジェクトへの早期アクセスが可能になる。

3月28日にOKExはファイルコインのコンセプト紹介する動画を投稿し、Weiboで600のシェアと3400の「Likes」を獲得した。これは中国での個人投資家からの注目度の高さを示している。中国の個人投資家層の獲得は難しく、繋ぎとめておくのも至難の業だ。

北京ではNFT、杭州ではポルカドット

北京を拠点とするブロッククリエイトアート(BlockCreateArt)は、大手オークションハウスのクリスティーズやデジタル・ファイナンス・グループ、マイニングリグ製造大手のビットメインと協力し、3月26日に大規模なNFTアートの展覧会を開催した

中国ではデジタルアートへの関心が高まっているが、文化的・芸術的な違いから、世界的に著名なデジタルアーティストである「Beeple」といった一流のデジタルアーティストには現実的なアプローチが取られている。

杭州ではCandaq金融科技集団が主催するブロックチェーンの展示会「Open Days」が開催された。このイベントではRarelink、Litenty、Phalaなどのスピーカーが参加し、ポルカドットに特化したものだった。今後予定されているパラチェーンのオークションでは、多くの地元のプロジェクトや地域に縁のあるプロジェクトがポルカドットで構築されていることが話題になっている。

人民銀行責任者「デジタル人民元は金融安定性のために必要」

中国人民銀行のデジタル通貨研究所の責任者は、民間の決済大手であるアリペイ(Alipay)とウィーチャットペイ(WeChat Pay)が中国の決済業界では圧倒的な地位を占めていることを認めている。

3月25日のオンラインパネルディスカッションに参加したデジタル通貨研究所の穆長春所長は、既存のソリューションに問題が起こった場合、安定性を維持するために政府が支援するデジタル通貨が必要になると指摘した。今のところ、WeChat PayとAlipayは市場シェアを失うことはないだろうが、政府主導で動けば、状況は急変するかもしれない。

企業関連のニュースでは、上海汽車集団(SAIC Motor)とアリババ集団が共同で開発する、電気自動車ブランドの「IM Motors」が、顧客がデータを同社と共有することにインセンティブを与える、ブロックチェーンを活用したサービスネットワークを発表した。ある程度のトレーサビリティーと改ざん防止を実現するために、車両や関連アプリを利用する顧客にオンチェーンポイントが付与される。

今回発表されたブロックチェーンネットワークは、排他的でプライベートなものであるため、ブロックチェーン技術の特徴をわずかに表しているものの、より中央集権的なストレージネットワークとの共通点が多い。
 

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン