12日付フィナンシャル・タイムズに掲載されたオピニオン欄で、米国で銀行を監督する通貨監督庁(OCC)のブライアン・ブルックス長官代理は、銀行規制を再構築する必要性を強調した。

現在OCCを率いるブルックス氏は、現在の銀行規制を自動車関連の法律と比較した。現在の自動車に関する法律は「危険なドライバー」から守るためのものであり、「危険な車」から守るためのものではなかったと指摘。現在の自動運転車はドライバーがいないために、法律との齟齬が生じていると分析した。

同氏は銀行業界も同じ道を歩んでいるとして、分散型金融(DeFi)を交通業界の自動運転車のようなものだと主張した。

「銀行規制だと言っているが、実際は銀行員を規制しているだけだ」

「元々の交通ルールが他のドライバーから私たちを守っていたように、現在の銀行規制は主に人間の失敗を防ぐために存在している」とブルックス氏は述べており、今後アルゴリズムによって作られる金融環境を整備する必要性を説いた。

DeFiはブロックチェーンを使うことで人間を介さないサービスを提供している。ブルックス氏は、銀行規制当局がアルゴリズムに不正や偏りがないかどうかを評価する方法を学ぶことで、新たな規制を構築できるとしており、次のように書いている。

「エラーをなくし、差別をなくし、万人に普遍的なアクセスを実現する未来を切り開くことができるだろうか? 楽観主義者である私はできると考えている。もし規制当局、銀行員、政策立案者が10年前の自動車メーカーのように大胆な行動をとっていたら、今日の米国の銀行業務はどのように変わっていただろうか?」

米最大の仮想通貨取引所コインベースで最高法務責任者を務めていたブルックス氏は、暗号技術を国家の決済システムに統合することを提唱している。最近ではブルックス氏のリーダーシップの下で、OCCは国法銀行に対しステーブルコインの決済とノード運営を認可している。

現在ブルックス氏は銀行機関ではないフィンテック企業などに対し、米国内の各州の規制に遵守するだけでなく、国家ライセンスを取得する機会を与えようとしている。しかし、こうした動きに州からは「権力の行き過ぎた行為」との反発もある。

今回のオピニオンではこうした問題にも言及している。

「連邦政府の規制が明確になっていない中で、米国の各州が慌ててその穴を埋めようとし、一貫性のないルールのパッチワークを作り、国家市場の秩序ある発展を阻害してしまう危険性もある」

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン