アナリストによると、ビットコイン(BTC)に対する機関投資家の需要が日々のマイニング量を下回り、BTCの長期的な安定性に懸念が広がっている。
需要と供給のバランスが逆転
ビットコインのマイニングによる供給量はほぼ一定に保たれている一方で、機関投資家による購入需要は「7か月ぶりに日次マイニング量を下回った」と、キャプリオール・インベストメンツの代表チャールズ・エドワーズ氏が指摘した。
エドワーズ氏は、ビットコインの主要な機関投資家の需要動向を示すチャートを共有した。それには、マイニング量(赤)、現物ETFなどの機関投資家による購入(薄緑)、およびBTCデジタル資産トレジャリー(DAT)企業の活動(オレンジ)が示されている。機関投資家全体による購入量は青線で表されている。
分析によると、DAT企業およびETFの需要は8月中旬以降段階的に減少し、11月3日にはその合計需要が日次マイニング量を下回った。機関投資家の需要がマイニング量を下回るのは、3月以来のこととなる。
当初は、現物ビットコインETFへの資金流入が企業側の需要減少を補っていたため、機関投資全体の需給バランスは維持されていた。
しかし、10月11日の市場急落以降、現物ETFからの資金流入も急速に縮小し、以後これらの投資商品では総額16億7000万ドルの純流出が発生している。
10月31日には、現物ビットコインETF全体で1億9100万ドルの純流出が確認され、12本すべてのETFで資金流入がゼロとなった。
この結果、年初から続いていた積極的な買いによって支えられていた機関投資家のBTCエクスポージャーが、ここにきて急速に冷え込んでいることが明らかになった。
エドワーズ氏は懸念を示し、「正直に言えば、この数か月間、自分を強気に保っていた主要な指標がこれだった」と述べた上で、「良くない兆候だ」とコメントした。
BTCの上昇トレンドは失われたか?
一方で、ビットコインの上昇トレンドは勢いを失い、10月6日に過去最高値12万6000ドル超をつけた後、現在は10万7000ドル付近まで下落している。
より長期的に見ると、市場は7月以降、10万5000ドルを上回る広いレンジで保ち合っており、強気派の楽観と利益確定の綱引きが続いている。
DAT(デジタル資産トレジャリー)モデルは、戦略的に法定通貨を借り入れてビットコインを取得するという伝統的な資金調達モデルに基づいている。
エドワーズ氏は「現在、明確なビジネスモデルを持たずに大量のBTCを保有しているトレジャリー企業は188社にのぼる」と述べた。
DATモデルは、ビットコイン価格の上昇によるキャピタルゲインを前提とした「価格上昇への賭け」でもある。その健全性を評価するために用いられるのが、時価総額対純資産価値比率(mNAV)である。
mNAVが高い場合、投資家は企業の将来的成長性にプレミアムを付けて評価していることを示す。一方、mNAVが低下する場合は、過剰な負債やリスクへの懸念を意味する可能性がある。
データによれば、ビットコインを保有するトレジャリー企業の純資産価値は急落し、数十億ドル規模の含み益が失われた。
この傾向が続けば、こうした企業のプレミアムはさらに縮小し、機関投資家の需要減退が信認低下を引き起こし、さらなる売り圧力を生む可能性がある。
本記事の見識や解釈は著者によるものであり、コインテレグラフの見解を反映するものとは限りません。この記事には投資助言や推奨事項は含まれていません。すべての投資や取引にはリスクが伴い、読者は自身でリサーチを行って決定してください。
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