歴史的に、伝統的市場のアナリストや株式投資家は、ビットコインやその他のアルトコインを慎重に見ており、仮想通貨(暗号資産)専門家がこれらを比較しようとすると、「りんごとオレンジを比較するようなもの(同じ土俵にない物の比較は不可能だとする考え)だ」とされる。
例えば、「投資の神様」とされるウォーレン・バフェット氏は、ビットコインは何も生み出さないため価値がない、ポンジスキーム以外の何物でもないと何度も発言している。
伝統的な人々によると、ビットコインをアップルやテスラ、JPモルガンのような株式と比較することは非合理的だと指摘する。企業は労働者を雇用し、製品を生産し、収益と配当を生み出して株主に分配されるからだという。
こうした議論にも関わらず、ビットコインは好調な1年を過ごした。機関投資家の需要が大幅に増加し、ビットコインに対する成長への投資家の信頼、そして世界経済が不確実性に直面するなかでの値動きによって、ビットコインは2020年にこうした金融株式を上回るパフォーマンスを見せている。
下図にあるように、3月中旬のコロナウイルスによる大規模な売却から市場が反発した第2四半期には、米国のトップ銀行大半が記録的な業績を達成したが、株式市場と世界経済への脅威は依然として残っている。一方でビットコインは第4四半期に他の金融企業の株式を大幅に凌いでいる。

(出典:トレーディングビュー「JPM、ゴールドマンサックス、バンクオブアメリカ、シティグループに対するビットコイン価格」)
第四四半期に入って42%の暴騰
ビットコイン価格は第4四半期にバイナンスで、10773ドルから、15366ドルまで上昇した。これは2ヶ月で42%も上昇しており、ビットコインの勢いを示している。

(出典:Skew「ビットコインの四半期ごとのリターン」)
ビットコインのこうした強さは、価値の保存手段としての認識が広まっていることに起因している。今年初めにはポール・チューダー・ジョーンズ氏はビットコインを理想的なインフレプレイと表現した。安全資産というビットコインに対するポジティブなセンチメントが、勢いを後押ししている。
他のセクターと比較すると、銀行株は3月の暴落以来、比較的良好なパフォーマンスを示している。消費者の購買行動が店頭購入からオンラインショッピングへとシフトしたことで、デジタルシフトしていない企業は深刻な影響を受けた。しかし金融環境が緩和し、FRBによる大規模な景気刺激策、政府の企業支援により、銀行の四半期の業績は予想以上の好成績を収めた。
例えばJPモルガンは3月23日の安値から32.63%上昇した。第4四半期では8%上昇している。
2020年第2四半期にJPモルガンは債券取引によってし、アナリストの予想を大きく上回った。投資銀行業務と株式取引の収益も急騰している。
ゴールドマン・サックスを含むそのほかの大手銀行も。ゴールドマン・サックスのトレーディング部門は45億5000万ドルの収益を記録した。同行はウォール街の予想を上回り、前年比29%増を記録した。
これらはいずれも驚くべきパフォーマンスだが、特にコロナウイルスのパンデミックによってもたらされた不確実性と景気後退を考慮すると、ビットコインの価格行動は2020年の大部分において銀行や他のリスクオン資産を凌駕するものとなっている。
なぜBTCが他の資産を上回っているのか

(出典:Skew「ビットコインのパフォーマンス対マクロ資産」)
ビットコインは今年、機関投資家の需要の急増と、一般社会への認知度の上昇という組み合わせをもたらした。
グレイスケール社が発表した調査によると、米国の投資家の半数以上がビットコインへの投資に興味を持っているという。
「関心は上昇傾向にある。2020年には、米国投資家の半数以上がビットコインへの投資に興味を持っている。調査回答者の半数以上(55%)がビットコイン投資商品に興味を示している。これは、2019年に興味があると答えた投資家の36%から大幅に増加した」
企業や投資銀行、個人投資家のいずれもビットコインに大きな成長の可能性を認識しており、ペイパルやスクエアのような企業が仮想通貨を支持しているのは、この可能性のためだろう。
積極的に仮想通貨をサポートしている企業の株価はここ数ヶ月で上昇傾向にある。例えば、ペイパルの株価は過去3日間で12%上昇、仮想通貨対応を発表して以来、勢いに乗っている。
2020年が近づくにつれ、あらゆるレベルの投資家がビットコイン価格を注視し、ビットコインが株式市場を大幅に凌ぎ続けられるかどうかを見極めることになるだろう。
JPモルガン、ゴールドマン・サックス、シティグループ、バンク・オブ・アメリカのような大手銀行株が仮想通貨の後塵を拝しているということは重大な出来事であり、これは投資家を仮想通貨へさらに引き寄せることにつながる。
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン