米証券取引委員会(SEC)のヘスター・ピアース委員は、アーティストへのロイヤルティ支払い機能を備えた非代替性トークン(NFT)について、連邦証券法の適用対象には該当しないとの見解を示した。
ピアース氏は直近の講演で、NFTがアーティストに再販収益を分配する仕組みを持っていても、それが自動的に証券に該当するとは限らないと主張。NFTは株式とは異なり、プログラム可能な資産であり、開発者やアーティストへの報酬を仕組みとして組み込めると述べた。
「ストリーミング・プラットフォームが、楽曲や映像を再生するたびにクリエイターにロイヤルティを支払うのと同様に、NFTはアーティストが作品の価値上昇から利益を得る手段になり得る」とピアース氏は語った。
さらに、こうしたロイヤルティの仕組みはNFT保有者に対し、証券として通常付随するようなビジネス収益や利益に関する権利を与えるものではないと指摘した。
SECはNFTのロイヤルティ支払いを禁止せず
エンジンのコアコントリビューターであり、アトラス・ディベロップメント・サービスの最高法務責任者のオスカー・フランクリン・タン氏は、NFTとロイヤルティに関するピアース氏の発言について「誤解されている」とコインテレグラフに語った。
タン氏は、NFTが販売後にロイヤルティをアーティストに返す構造を持っていたとしても、それが証券とは見なされないというピアース氏の見解は法的に妥当であるとした上で、一部メディアが発言を誤って解釈していると批判した。
「NFTにおけるロイヤルティは証券性とは関係ない。アーティストは投資家ではなく、NFTにおける受動的な第三者でもない。これは通常の事業収益と同様のものであり、SECの規制対象ではない」と説明する。
さらに、ロイヤルティの配分が複数のNFT保有者にまで拡張され、共同で利益を得るような仕組みが組み込まれている場合には、法的な論点がより複雑になると指摘した。
タン氏は規制当局や市場関係者に対し、ブロックチェーン技術を用いた新しいモデルにも従来の法的枠組みを適用するよう呼びかけ、「紙とペンでやっていたとしても問題になるのか? そうでなければ、慎重に対応すべきだ」と述べた。