ニューヨーク州の最高裁判所がステーブルコインUSDTを発行するテザーに対してビットフィネックスに通常業務以外で融資など資金供給をしないように命令した。先月末、ビットフィネックスとテザーはニューヨーク州の司法長官から巨額資金の損失を補填するためにテザーの準備金を使っているなどとして訴追されていた。
ビットフィネックスとテザーのCEOは同一人物だ。
ニューヨーク州最高裁判所のコーエン判事は、通常の業務以外でテザーが自社の米ドル準備金を使ってビットフィネックスやその他の関係機関に対して融資や供給などをすることを禁止すると命じた。
またテザーに対してビットフィネックスへのローン提供などに関する文書の提出も求めた。
米ドルと1対1で連動すると主張してきたテザーだが、先月30日、テザーの弁護士がテザー(USDT)の4分の3しか米ドルで裏付けられていないことを認めた。
先月26日、ニューヨーク州のジェームズ司法長官は、ビットフィネックスがパートナーの決済サービス企業クリプト・キャピタル関連の損失補填の為、7億ドル(約784億円)のテザーを使っていたなどとして訴追。仮想通貨市場関係者に衝撃を与えた。
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その後テザーは、「損失」ではなく「差し押さえされているだけだ」と反論。イニシャル・エクスチェンジ・オファリング(IEO)を実施し、10億ドルの資金調達した。一部報道では損失補填に使われるのではないかと見られている。
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追記
今回の命令は、ニューヨーク州の司法長官が出した命令の修正版。最高裁は、ニューヨーク州の司法長官がビットフィネックスとテザーがテザーの準備金からドルを出し続けるのを止める命令を出す上で「十分な証拠」を出したと指摘。ただ言葉遣いの問題でビットフィネックスの通常業務に支障が出る恐れがあるため、当初の命令を修正した。
ビットフィネックスも今回の命令に対してすぐに反論し「勝利宣言」を行なった。
「コーエン判事がニューヨーク司法長官から入手した最初の命令が、『漠然として終わりがない』ことを認め、『範囲を可能な限り狭める』必要があると認めたことを我々は嬉しく思う。我々はニューヨーク司法長官からのいかなる行動にも激しく抵抗し、無意味な主張から我々の顧客、ビジネス、コミュニティを守ることにコミットする」