仮想通貨NEM(XEM)のコミュニティは今週、NEM財団のアレクサンドラ・ティンスマン代表理事が6か月の有給休暇を取ることを表明し、コミュニティの中で賛否両論が巻き起こっている。

ティンスマン氏は、コインテレグラフに対して、財団の日々の運営から撤退することを決定したのは、健康問題が理由の1つだと明らかにした。しかし、一部のNEM支持者は、ティンスマン氏が6ヶ月の有給休暇を取るというアイデアには納得していないようである。

NEMの組織再編

NEM[財団は4月8日、プロジェクトの大規模な組織再編計画を発表した。これには3つの独立したチームを1つの組織の傘下にまとめる計画が含まれている。

もともとNEMのプロジェクトは、3つの独立した組織(NEMベンチャーズ、NEMトレーディング、NEMソフトウェア)が担っていたが、新しく組織される「NEMグループ」によって統括される形になる。

またその発表の中で、ティンスマン氏が6か月間の有給休暇を取得することも明らかにした。

「現時点で、NEM財団の代表理事であるアレクサンドラ・ティンスマン氏が運営上のリーダーシップから後退することを決定したことをお知らせします。彼女は、NEM財団の運営に長い間携わった後、6ヶ月の長期休暇(有給)を取得します」

コミュニティの中では、今回の再編計画を受け入れる声も出ている一方、ティンスマン氏の有給休暇取得には批判的な声も出ている。

「有給のサバティカルは、会社に10~20年勤務した後に得られるものだ。1年間の会長就任で、6ヶ月の有給のサバティカルとはまったく理解できず、私のようなシェアホルダーにとっては完全に侮辱だ」

NEM投資家の中では、過去12ヶ月間のプロジェクトの進捗に対する不満を口にする者もいた。

「はっきりと言わせてもらう。新しいNEM財団は資金を獲得し、1年以上、何も達成していない。そして今、会長が6か月間の有給休暇を取得するというのか。このコインは私のポートフォリオで最もパフォーマンスが悪いコインであり、かつては強力だったプロジェクトで何も起こっていないのを見るのは悲しいことだ」

批判は「別プロジェクトの荒し」

アレクサンドラ・ティンスマン氏は、NEMコミュニティで大騒ぎになっているという考えは否定し、騒いでいるのはコミュニティの中のほんの一部であると主張している。

ティンスマン氏は、コインテレグラフに次のように語った。

「あなたがフォーラムで見ている否定的な声は、別のプロジェクトによるコミュニティへの荒し行為だ。全体として、事業再編とサバティカルに関しては、コミュニティから圧倒的に肯定的な反応だった」

ティンスマン氏は、今回のサバティカルの決定が、深刻な健康問題から回復するためが理由の一端であることを明らかにした(ティンスマン氏は2018年に緊急の心臓手術を行っている)。グローバルなブロックチェーンプロジェクトの実行と調整を続けることが、健康的にも難しいという判断に至ったようだ。

「私はほぼ2年間にわたり、週7日、1日14時間以上働いてきた。…完全に分散化されたグローバルなチームをリードしながら、そのようなライフスタイルを維持することは、誰にとっても不可能であり、合理的でもない」

新たなに発表された事業再編計画では、独立していた3つのチームがNEMグループの傘下に置かれることになる。ティンスマン氏は、急速な変化への対応や、プロジェクトの日常業務で運営改善の必要性があると語っている。

「エコシステムを戦略的にリードするため、CEOとともにより集権化された伝統的なビジネス構造に移行することで、目標を一致させ、プロジェクトへのサポートを改善し、有限のリソースと資金をより適切に管理できるようになる」

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン