信用格付機関ムーディーズは、仮想通貨取引所コインベースのコーポレート・ファミリー・レーティング(CFR)と保証付無担保優先債を格下げし、両格付けをさらなる格下げの検討下に置いたと表明した。

ムーディーズの格付けであるCFRは、企業の債務履行能力に対するムーディーズの意見を反映し、Ba2から非投資適格以下とみなされるBa3に格下げされた。

無担保優先債とは、企業が保有する債券のうち、資産の裏付けがなく、倒産した場合、他より優先して返済しなければならないものだ。ムーディーズはコインベースの格付けをBa1からBa2に引き下げた。

格下げの根拠として、ムーディーズはコインベースの収益モデルが「取引量、ユーザーごとの取引活動、全体の暗号資産価格と結びついている」と指摘した。そして、過去数ヶ月間の仮想通貨価格の急落によって、顧客の取引活動が衰え、その結果、同社の収入とキャッシュフローの低下を引き起こしたと述べている。

不透明な環境のため、コインベースは6月14日に約18%のレイオフを余儀なくされた。しかし、この措置でもムーディーズは、コインベースの収益性は「現在の環境では引き続き厳しい」と予想している。

ムーディーズは、仮想通貨価格が下落し続け、取引所の取引高がさらに減少した場合、さらなる格下げを要求する可能性があるとも述べている。また、同社が経費を削減できるかどうか、人材を維持する能力だけでなく、潜在的な「暗号資産規制の進展」にも注目するという。

ムーディーズは、コインベースが弱気市場でも利益を生み出し、取引や仮想通貨価格に関連しない他の流れで収益を多様化できれば、将来的にコインベースの格付けを再び引き上げる可能性があるとしている。2022年第1四半期では、仮想通貨取引ベースの収益はコインベースの純収入の87%を占めているとも指摘している。