「仮想通貨の将来を感じさせる動き」マネックス松本氏、米中貿易戦争でビットコインへの資金シフトがあり得る理由を解説

マネックスグループの松本大CEOは10日、米中貿易戦争が激化する中で株と相関関係のないビットコインが資金の逃避先として機能した兆候があったことに言及し、仮想通貨の将来を感じさせる動きだったと話した。

松本氏は、都内で行われたセミナー「仮想通貨の正体」にマネックスグループ傘下で仮想通貨取引所コインチェックの上級執行役員である和田晃一良氏と執行役員の大塚雄介氏と登壇。「なぜ今、仮想通貨が必要か?」など様々なテーマについて自身の考えを語った。

その中で松本氏は、ゴールデンウィークを過ぎた辺りから米中貿易戦争で株安になる一方、ビットコイン価格が上昇したことに言及。米国の「ファミリーオフィス」という大富豪の資産を管理するファンドがポートフォリオ運用でビットコインにお金をシフトさせたという観測があると指摘し、次のように述べた。

本来は株と債券の値動きは逆だがリーマンショックの時には全部一緒に下がった。相関係数が1になった。ポートフォリオ運用をするものとしてはこれを嫌がる。一方、仮想通貨は全く相関関係がない。株とかと全く違う動きをする。」

また松本氏は、ビットコインや仮想通貨は、適正価格がないという観点からもデジタルゴールドやデジタルダイヤモンドという概念に近いのではないかと指摘。次のように続けた。

社債などの裏付けはないし、国の裏付けがある法定通貨と違って需給という思惑だけで動いている。それは金とかダイヤモンドも一緒。なぜダイヤに値段があるのかといえば、買う人がいるから。(中略)ところが金は重たい。ビットコインは質量がない。そうするとある程度の額を保管するには仮想通貨の方が便利だ」

5月中頃にビットコインが急騰した背景について、松本氏と同じようにリスクへのヘッジ手段として買われたという見方は相次いでいる。

例えば、米経済番組のCNBCは「メインストリームのマーケットが崩壊する中、相関性がないビットコインが安全資産として本領を発揮している」と報道。米国のビットコイン投資会社アダマント・キャピタルも、人民元安が進む中で中国人投資家が資産の逃避先としてビットコインを買っていると分析した

「目に見えないから不安」はすぐに解消される?

一方、松本氏は、マネーの歴史を振り返る中で、仮想通貨が偽造がされにくい点や消失しないという点、持ち運びやすいという点から硬貨や紙幣など歴代のマネーに対して優位性を持っていると解説。ハッキングなどによって仮想通貨が流出した事件はあるものの、「仮想通貨の技術が破られたわけではなく、仮想通貨が置いてあった場所の技術が破られた」と述べた。

その上で「仮想通貨は目に見えないから不安」という懸念に対して自身のマネックス証券での経験を話し、こうした不安は実感が伴えばなくなっていくのではないかという見解を示した。

「一番最初は目に見えないマネックス証券にお金を送金することが怖い、不安だと言われた。しかし、あっという間にみんななんとも思わなくなった(中略)だから目に見えないから不安だというのは多分、何か実感が伴ってくるとなくなっていくんじゃないかなと思います。」

将来は通貨ごとに役割分担

この他、現在2000種類ほどあると言われている仮想通貨の今後について話が及んだ。コインチェックの和田氏は1年か2年ほど前まではよく分からない仮想通貨が急増していたが、相場が下落するにつれて消えていったと指摘。ただ今後相場が回復するに連れて全体の傾向としては仮想通貨は増え、通貨同士で役割分担が進むのではないかと予想した。

「新しい通貨は新しい機能があり、新しいメリットがあるものが多い。そこを生かして新しいサービスやシステムが生まれる」

その上で、従来の仮想通貨や政府発行のステーブルコインなども含めて今後、仮想通貨同士の役割分担がされていくという見方を示した。