マネックス証券は8日、仮想通貨(暗号資産)の差金決済取引(CFD)の取り扱いを開始すると発表した。主要ネット証券企業での仮想通貨CFDの取り扱いは初めてとしている。

仮想通貨CFDは7月8日の20時から取り扱いを開始する予定だ。

CFDはデリバティブ取引の一種で、購入する価格と売却する価格の差額を取引するものだ。証拠金からレバレッジをかけて取引することもでき、マネックス証券ではレバレッジ倍率最大2倍でサービスを提供する。

マネックス証券では、ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、XRP(リップル)、ビットコインキャッシュ(BCH)の4通貨を対象にサービスを提供する。

マネックス証券の広報担当者は、コインテレグラフジャパンに対して、今後CFDの対象となる仮想通貨の種類拡大について、「取引需要とか流動性リスク、価格変動リスク、暗号資産のブロックチェーンネットワークリスクなどを踏まえて適時検討予定」と述べている。

またターゲットとするのは「元々デリバティブ取引やレバレッジをかけたトレーダー層」だと述べている。

2020年5月から改正金融商品取引法の施行によって、「暗号資産」が金商法の「金融商品」と規定された。これにより、仮想通貨デリバティブ取引が金商法の規制対象となっている。これに伴い、今回マネックス証券でも仮想通貨デリバティブのサービス提供が可能となった。

コインチェックを補完か

ちなみに、マネックスグループの仮想通貨取引所コインチェックでは昨年12月に仮想通貨のレバレッジ取引信用取引サービスの終了を発表している。レバレッジ取引と信用取引はどちらも今年3月13日に終了させている。

コインチェックの蓮尾聡社長は今年1月、レバレッジ取引などの終了について「レギュレーションコストが上がっているため」と説明。改正法施行後には、金融商品取引法のライセンスを取得する必要が出てくるなど、「コストがかなり上がる可能性がある」と述べていた。

また現在の倍率上限4倍の規制が、規制強化で上限2倍になれば、「収益面での期待も難しくなる」と分析する。「レバレッジ取引に対する開発リソースを振り向けることが最適ではないと判断した」と蓮尾氏は語った。

ただ、蓮尾氏は、代替となる新サービスの検討を進めているとも述べ、ロング(買い)とショート(売り)の両方ができるようにほかのサービスを考える必要はあると語っていた。

今回、同じマネックスグループ内のマネックス証券が仮想通貨デリバティブ取引を提供することは、コインチェックの仮想通貨取引を補完する形になるとみられる。