アフターコロナの代替投資先として仮想通貨(暗号資産)ビットコイン(BTC)にどのくらいポテンシャルがあるのか?

マネックス仮想通貨研究所所長を務める大槻奈那氏が5月28日に最新のレポートを発表し、「当面、上昇トレンドが持続できる」と予想した。

機関投資家と新興国から追い風

1つ目の理由は、機関投資家から手元資金の一部が仮想通貨に流入している点だ。大槻氏は今年の1-3月期に米仮想通貨運用会社グレイスケールに前期比2倍となる5.0億ドルの資金が流入したと指摘。「1.6億ドルが新規の投資家の資金とのことで、機関投資家のすそ野が広がっていることを示している」と解説した。

また、「強力な金融緩和で実質金利の急落」が見込まれている中、「債券など金利物の投資妙味が失せ、金や暗号資産の魅力が相対的に上昇する」と指摘。「ビットコインは黎明期でもあり、金価格ほど明確な関係は見られないが、今後は、実質金利に対して金と似た反応が見られる可能性がある」と伝えた。

大槻氏は、アルゼンチンや南アフリカなど新興国で自国通貨安に対するリスク回避手段として仮想通貨投資が活発になっている点にも注目している。

ステーブルコインで「連想買い」も

さらに大槻氏は、中国人民銀行のデジタル銀行などステーブルコインの開発が着々と進んでいることについて、「ビットコインなど既存の暗号資産の価格と直接リンクすることはない」としつつも、「デジタル通貨の保有者が、一時的な投資先として暗号資産を選ぶ」可能性があるほか「そうした連想から既存の暗号資産が買われる可能性はあるだろう」とみている。

このほか、今月のビットコイン半減期による供給抑制効果も追い風になるとみている。

一方、大槻氏は、リスク要因について「ロシアで暗号資産による決済が禁止」や「ブラジルでは暗号資産売買の利益の税制が強化され、小規模な取引所が閉鎖された」こと、3月の暴落時にビットメックスの取引が一時停止したことなど依然としてセキュリティ面での課題があることを指摘している。